自宅で楽しむ911選びは十人十色。カーコンフィギュレーターで自分好みの1台を作ってみる!

Custom 9/ポルシェを買うなら911がいい

ある試乗会で、たまたま自分を含め6人の自動車ジャーナリストの仲間が丸テーブルを囲んでいた。たいそう高尚な会話が交わされていたわけではなく、ここには書けないようなどーでもいい話題ばかりだったが、いつの間にかポルシェの話になり、4人が現在もポルシェを所有、ひとりが過去に所有の経験があって、自分だけが一度もポルシェオーナーになっていないことが判明した。
正直言って、これはかなりショックだった。海に行って自分だけ水着を忘れたような、絶望的疎外感を味わった瞬間だった。“ポルシェのある生活”というものを経験値として積んでおきたいとは思っていたけれど、みんなはとっくにそれを実践していたわけだ。
もし自分がポルシェを買うなら、ケイマンやボクスターやカイエンの出来のよさには敬意を払いつつ、やっぱり911がいい。911が好きというよりも、911を知らずしてポルシェを語ることなかれみたいな自発的義務感である。だから今回の企画の前に自分仕様の911を組み立てていたのだけれど、あらためて作り直してみた。
911の本質を存分に味わえるのはカレラのクーペだと思っている。刺激的な動力性能や電制LSDの巧みな制御が味わえるカレラSも悪くないけれど、さすがに300万円以上の価格差には躊躇してしまう。
エクステリアカラーは迷うことなく“クレヨン”である。個人的に911は(いい意味で)無機質なクルマだと思っていて、そのイメージにぴったりだから。見栄えよりも乗り心地を優先したいのでホイールは最小サイズの19/20インチ。インテリアカラーとシートはブラックと標準のスポーツシートとした。エクステリアはいじるつもりがなかったのだけれど、リストを見たらリアの車名エンブレムを「911」だけにできるオプションがあって、これが“0円”だったので選んでみた。「CARRERA」を省くことで軽量化も図れる、というのはウソである。
ドライブトレイン/シャシーの項目で、現時点ではPDKが標準のトランスミッションとして設定されている。本国ではMTが追加されたが、日本で選択可能だったとしてもPDKにする。ATの制御に関して、PDKの右に出るロジックはいまのところ他にないと思っている。ポルシェのテストドライバーが「PDKのDレンジは自分よりもずっと賢い」と自画自賛していた。その通りである。“スポーツクロノパッケージ”を付けると、PDK仕様はローンチコントロールやレーシングシフトプログラムが使えるようになるので、これも外せない。
あとは、寄る年波には勝てず、最近は夜の視界に若干の不安があるので、LEDヘッドライトがあると心強い。安全装備として選んだのは“高視認性ジャケット”。事故や故障で車外へ出るときに着用する反射ベストで、ドイツでは携行が義務づけられている。特に夜間には重宝するだろうし、2000円ちょっとだったので。
最後にオプションリストをひと通り見返していたら“クレヨンシートベルト”というのを見つけた。どうやら、クレヨンのボディカラーに合わせた色になっているらしい。インテリアをブラックにしていたので、これがアクセントになるかもと思って選んだ。
「ポルシェの素の状態はなんも付いてないから、オプションを選ぶととんでもない金額になる」とよく聞く。確かにそうとも言えるけれど、不必要な装備が最初からたくさん付いている抱き合わせ販売みたいな手法よりは、ずっと健全で良心的だと思う。

■Name/渡辺慎太郎
■Age/53歳
■Model/911カレラ
■TOTAL/14,678,200円
■Body Color/クレヨン
■Roof/ノーマル
■Interior/ブラック
■基本価格/13,597,222円
■オプション総額/1,080,978円
【Option List】
・エクステリアカラー(クレヨン)/452,223円
・スタンダードインテリア(ブラック)/0円
・911ロゴ/0円
・8速ポルシェドッペルクップルング(PDK)/0円
・スポーツクロノパッケージ/388,056円
・19/20インチCarreraホイール/0円
・LEDヘッドライト(PDLS/Plus含)/165,000円
・スポーツシート/0円
・クレヨンシートベルト/73,334円
・高視認性ジャケット/2,365円

ルボラン2020年7月号より転載

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