「GTI」を中心に独自のスポーツ性を確立
フォルクスワーゲンのスポーツモデルは、ゴルフGTIを始祖としつつ、Rはさらにその上のハイパフォーマー、Rラインはエントリーモデルとして、進化を重ねてきた。ここでは、その3者の歴史を、ダイジェスト気味に振り返ってみよう。
GTIが誕生したのは、1974年に初代ゴルフがデビューしてから2年後のこと。ファミリーカーとは別の顔を持つスポーツモデルをつくりたいというフォルクスワーゲンの有志が、当初5000台の限定生産という条件でゴルフGTIの市販化に成功。110㎰を発揮する1.6L直列4気筒により約180km/hの最高速をマークするこのコンパクトスポーツは、ドイツのアウトバーンの追い越し車線を堂々と駆けぬけ、「アウトバーンに民主化をもたらした」クルマとして、瞬く間に限定数を完売。その後、ホットハッチのベンチマークとして支持を集めてシリーズ生産がスタートした。
以降、ゴルフのモデルチェンジとともにGTIも進化を続けることに。2代目には139psの1.8L直列4気筒 DOHC、3代目には152psの2L直列4気筒DOHCを採用(いずれもモデル初期にはSOHC版を搭載)。4代目からは直列4気筒DOHCターボとなり、1.8Lだった排気量は5代目以降は2Lにアップしている。7代目には、220psのゴルフGTIに加えて、230psのエンジンと、電子制御油圧多板クラッチを用いたフロントディファレンシャルロックを搭載したゴルフGTIパフォーマンスを設定。
さらにそのエンジンをパワーアップさせたゴルフGTIクラブスポーツ(265ps)、ゴルフGTI TCR(290ps)が用意された。また、ゴルフと並行して3代目ポロにもGTIグレードが新設定されるなど、以後は各々がFFスポーツとしての速さを究めていった。
ハイパフォーマー「R」とエントリーモデル「Rライン」の登場
もうひとつのスポーツモデルであるRが誕生したのは2002年のこと。4代目ゴルフの時代に、「VR6」と呼ばれるバンク角15度の狭角V6エンジンと4WDの「4モーション」を搭載したゴルフR32が登場。3.2Lの24バルブエンジンは最高出力241psを誇る。モデルチェンジ後の5代目ゴルフでは最高出力が250psにアップしている。
続く6代目ゴルフでは、3.2L VR6が2L直列4気筒ターボにダウンサイジングされ、これを機にRに名称を変更。一方、最高出力は256psへと向上している。7代目では280psまでパワーアップが図られ、ハッチバックに加えてステーションワゴンのゴルフRヴァリアントも設定、その後は、SUVとしては初めてとなるティグアンに、続いてTロックにRが設定された。
さらに7代目ゴルフの時代には、ゴルフRを手がけるフォルクスワーゲンR社(当時)がプロデュースするRラインが登場。これはアウディのSラインに相当する仕様で、パワートレインには手を加えず、専用にデザインしたアイテムにより内外装をスポーティに仕立て上げたものだ。日本では、2009年にティグアンに初めて設定され、その後はTロックやアルテオンなど計8モデルに設定されていった。
GTI/Rゴルフに話を戻すと。現行型はそれぞれ245psと320psの2L直列4気筒ターボを搭載。前者はフロントディファレンシャルロック、後者はリアアクスルに左右トルク配分機構を持つRパフォーマンス トルクベクタリングを搭載することでハンドリング性能を高めている。FFスポーツの軽快さと、4WDスポーツのオールマイティな走り。どちらも、ゴルフでスポーツドライビングを楽しみたいファンにとっては、実に魅力的な選択肢といえるのだ。
問い合わせ=フォルクスワーゲン・グループ・ジャパンTel.0120-993-199
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