前期モデルならではのクラシカルな味わい!1976年の「サニートラック」【魅惑の自動車カタログ・レミニセンス】第46回

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長寿モデルへの道を歩み始めた頃

今回は、この連載では初めて採り上げるタイプの車種――乗用車ベースのピックアップ――のカタログをお見せしよう。日産(ダットサン)サニートラックの前期モデルである。

【画像18枚】セダン顔のグリルから角型メーターまで、味わい深いディテールの数々を見る!

23年間の長きに亘って販売されたサニートラックは二代目・B110型系ダットサン・サニーをベースにしたモデルだ。サニーのトラック・バージョンは初代・B10型系から存在しており、1967年に発売されたB20型がそれである。サニーは1970年にモデルチェンジを行いB110型系となったが、トラックはその1年後の1971年1月に発売。型式名はB120となる。

搭載エンジンはベースのサニーと同じく、1.2L 直列4気筒OHVのA12型で最高出力は68ps、これに3速(コラムシフト)または4速(フロアシフト)のミッションが組み合わされる。サスペンションは前ストラット/後リーフリジッドでセダンと同じだが、車体後半のフロアパネルは当然トラック専用のものだ。最大積載量は500kgで、グレードはスタンダードとデラックスがあり、それぞれにコラムとフロアの両シフトが用意されていた。

1973年5月には、サニーは再びモデルチェンジを行い、三代目・B210型系へと進化したが、トラックはB120型のままキャリーオーバーされた。ただし、このフルチェンジと同時にロングボデー(GB120型)を追加している。これはホイールベースを230mm延長したもので、これに伴いプロペラシャフトは2分割式を採用、最大積載量は500kgで変化なし。

こののち、比較的大きなマイナーチェンジが行われたのは1978年のことで、コーナーラバー付きのバンパーと、かつてのクーペ用に似たフロントグリルを装着するようになった。1985年にはブランドを「ダットサン」から「日産」に変更。1989年にはマイナーチェンジを行い、ヘッドライトが角型となって大きく印象を改めた。前輪ブレーキもディスクに進化している。そしてこの5年後に販売終了となったのだが、海外では2008年まで生産が続けられたとのことだ。

青いコンテナの前に佇むサニトラと女性モデルの表紙。この時期のサニートラックのボディカラーはブルーとホワイト、クリームの3色だが、この表紙を含めてカタログ全体がその印象に合わせて色彩設計されているようで、なかなかお洒落である。コンテナの青に引き立つ車名のオレンジの文字もよい。

女性モデルが唐突に乱用されるページも…
さて、今回お見せするカタログは、バンパーにコーナーラバーが付く前の、初期のタイプのものである。表紙に「NAPS」のロゴが入るところから大体の時期は察することができると思うが、表4にも「5101」のコードが記載されているところから、1976年1月発行のものであろう。サニートラックは前年10月に、50年度排ガス規制適合が発表されている。サイズは249×259mm(縦×横)、ページ数は表紙を含めて全12ページ。

カタログそのものは、商用車のそれとしてもなかなか配慮されたデザインがされており、表紙などもなかなかお洒落な感じだが、女性モデルの乱用ページが唐突に現れたりして、その一貫性のなさも含めてなかなか面白い。そのあたりは各画像をよくご覧いただき、お楽しみいただけると幸いだ。

ところで、1975年生まれの筆者としてはこの初期サニトラの姿は記憶にはない。よく見知っているのは、1978年のマイチェンでクーペ風フロントマスクに改められて以降のもの、そして末期の角目のタイプである。そのためこの初期モデルのクラシカルな雰囲気は、筆者の目にはなかなか新鮮に映るのであった。

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