フェアレディZの人気が強固なものとなるにあたり、大きな役目を果たしたのが2by2であったことに、異論を挟む余地はないだろう。S30デビュー当時から、その快適性は高い支持を集めていたものの、あくまで2人乗りであることに対する不満の声は、日米両市場ともに無視できないものだった。そうした声に応える形で1974年1月に登場したのが、ホイールベースを300mm延長し後席を設けた2by2である。この4人乗り仕様はZ32までラインナップされ、フェアレディZのセールスを支え続けたのだ。
1973年の東京モーターショー出展モデル
ここで紹介する作例ベースはただの2by2ではなく、260ZEとしてみた。これは74年正月の発売に先立ち、73年の東京モーターショーに出展されたもので、色々な部分が市販モデルとは異なっている。まず目に付くのは、フロント周りがGノーズであること。ボディカラーも、240ZGを思わせるマルーン系の色(より色調が軽めのメタリック)だが、オーバーフェンダーは装着されていない。また車名が示す通り、搭載エンジンは2600㏄のインジェクション仕様で、これは2by2だけでなく2シーターも含めて国内市場に導入される予定だったらしいが、結局は実現せずに終わった。この2.6リッター・ユニット、最高出力ではS20搭載の432を超える170psという数値が明らかにされていた。ご存じの通り、アメリカ仕様には2.6リッターは導入され、さらに2.8リッターへと拡大されている。
最新キットと名作キットを融合する技に注目!
実車現役当時は2by2もキット化されており、ニチモ1/20やLSおよび日東の1/24などがあった。いずれも捨てがたい内容を持つキットだが、そこはやはり当時の玩具的なモデルであることは否めない。そこで、S30系のキット化では最新(と言ってもおよそ15年以上前のリリースだが)かつ決定版と言ってよいハセガワ製をベースに、2by2の再現に挑んでみた。モデラーの坂中氏が新旧の名作キットをひとつに統合する技にご注目頂きたい。工法としてはハセガワのボディを延長しつつ日東のキャビンを移植する訳だが、これがそうすんなりと行くわけがないのも、想像は容易であろう。
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