アメリカ志向の複雑なボディラインに魅せられる
マツダのトップモデルであったルーチェは、1972年11月にモデルチェンジを行い、2代目へと生まれ変わった。初代に見られたヨーロッパ調の繊細かつ上品なボディラインはすっかり影を潜め、2代目はアメリカン・スタイルの派手で華やかなスタイルへと変貌を遂げている。デザインモチーフは大空を滑空する大鷲とのことで、フロントフェイスなどにそうしたイメージを感じることができよう。ボディサイズは初代から一気に大きくなったような印象だが、幅は広がっているものの全長はわずかに短くなっている。
【画像19枚】豪快なスタイルのルーチェGSⅡ、その全貌はコチラ!
ボディは4ドア・セダンと2ドア・ハードトップが用意されており、2つのボディ形式ではフロントフェイスのデザインが異なっていたが、セダンにハードトップのフロント周りを移植した”カスタム”というモデルもラインナップされていた。登場当初のエンジンはロータリーのみで、サバンナGTやカペラと同じ12A型を搭載(最高出力は130psと120psの2タイプを用意)、ハードトップGSⅡでは最高速度190km/hを記録した。また、国産車では初めてとなる本格的な公害対策エンジン搭載車がAPの名で設定され、1973年5月に低公害優遇税制適用車の第1号となったのも話題に。こちらの最高出力はわずかに落ちて115psと125psの2種類があった。同年4月には1800ccのレシプロエンジン車を追加、また12月には13B(654cc×2、135ps)を搭載したグランツーリスモをハードトップとカスタムに加え、さらに同エンジンを載せたAPワゴンを新設している。
1973年12月にはシリーズ全車50年規制をクリア、1975年10月には全車51年規制に適合、同時にフェイスリフトが施されるとともにセダンはカスタムのみとなる。1977年には上級モデルとしてルーチェ・レガートが登場、これは実質的には3代目ルーチェであり、2代目モデルは1978年に併売を終了した。
さて、ここでご覧頂いているのは、バンダイが1/20スケールでリリースしたルーチェGSⅡを美しくフィニッシュした作品である。あまりモデル化には恵まれなかった2代目ルーチェだが、バンダイはマツダ車に特別の興味があったらしく、このルーチェもしっかりとフォローしていた。
貴重なキットを的確なディテールアップで輝かせる
キットのボディ形状は少々難ありで、リアのオーバーハングが短く、逆にフロントは長いといった具合いだが、作例は特に改修などはしていない。サイドウィンドウの形は後半が下がり気味なので実車通りに修正、プラ材でレインモールを作り直した。テールランプは”ジュエル・ランプ”とメーカーが呼称した通り、キラキラと美しく輝く重要なアクセントだが、キットではクリアーオレンジ成型のパーツで用意されていた。ヘッドライト周りはコトブキヤのリム・パーツとモデラーズのレンズでリアリティをアップ。
美しいボディカラーはMr.カラーC6グリーン+C8シルバー+C48クリアーイエロー+C49クリアーオレンジで調色。前期型のキットはモーターライズ・シャシーであるため、作例では、ディスプレイ専用に改められた後期型キットのシャシーを使用しているが、そのまま組むと車高が異常に高くなるので、ダイキャスト製リーフスプリングの取り付け部を削り、適正な車高となるよう調整を行った。130ps仕様の12A型ユニットが収まるエンジンルームは、作例ではほとんど手を加えていない素組みでの仕上がり。
明るめのブラウン系統2色で塗り分けられたインテリアが、1970年代半ばらしさを醸し出す。6連メーターを備えた彫りの深いダッシュボードは、同時期のスカイラインやマークⅡのそれによく似た形状だ。作例はインテリアもほぼキットのままの素組みで、シートなどの形の良さも見て取れよう。フロントシートは写真のようにスライド可能で、シートバックも倒せる。ビニル製のフロアマットは初版キットに付属していたものだ。