今なお迫力ある姿をとどめる後期型仕様
スカイラインがついにサーキットへ帰ってきた! それはかつてのスカイラインGT-Rのように直6 DOHCエンジンを積んだマシンではなかったが、スカイライン党の長年の鬱憤を晴らすには充分であった。その予感は、1981年、6代目スカイラインのデビューから少し遅れて「RS」が登場したとき、すでに多くの人の脳裏に閃いていただろう。RSは、6気筒ではなく4気筒であったものの、DOHC 16バルブのFJ20型エンジンを搭載していたのだ。GT-RではなくRSを名乗ったのは、エンジンが6気筒ではなかったからだという。
そしてこのスカイラインRSがついにサーキットでも活躍することとなった。それがこのスカイライン・スーパーシルエットである。R30型スカイライン2ドア・ハードトップをベースとしつつ、鋼管パイプフレームを組んで基本骨格とした、まさにプロトタイプマシンのような車両であった。これは当時、欧州に端を発して隆盛を極めたシルエットフォーミュラ――つまりFIAの規定でグループ5に属するものである。このスーパーシルエットは、RSのイメージカラーである赤/黒のツートンに身を包み、車体にもRS TURBOと書かれていたが、しかし実は、そのエンジンはFJ20ではなかった。
このマシンに搭載されていたのは、L型4気筒をベースとする排気量2139cc、直列4気筒DOHC16バルブにターボチャージャーを装着したLZ20B型エンジンで、その最高出力は570PSに達したと言われている。1979年に始まった富士スーパーシルエット・シリーズには、日産ワークスは1981年からシルビアとガゼールで参戦、翌1982年にはガゼールが消えた代わりに、ブルーバードとともにスカイラインが加わって、日産ターボ軍団を形成した。ここでスカイラインが参戦に至ったのは、ドライバーの長谷見昌弘自身の尽力も大きかったと言われている。
このスカイライン/ブルーバード/シルビアのスーパーシルエット3台は、サスペンションなどに違いはあるものの基本的には同じ構造を有していたが、中でもスカイラインはその迫力ある走りで人気を博した。しかし、1982年にはFIAの車両規定が改編され、グループ5は終焉を迎えてしまう。スーパーシルエットシリーズは1983年限りとなるのだが、ここでスカイラインRSターボ・スーパーシルエットは、市販車のマイナーチェンジに合わせてわざわざ外観の変更を施されている。
スカイラインRSの後期型といえば、グリルレスの顔つきが迫力ある、通称”鉄仮面”。スーパーシルエットも、フロントマスクを鉄仮面顔に、リアもスモークのカバーをかけたテールランプにと、それぞれ改修されたのだ。いかに市販車とイメージを結びつけるか――要するに市販車の販促につなげるかか重要だったということが分かるだろう。さて、ここまでお目にかけてきたのは、このスカイライン・スーパーシルエットのアオシマ製1/24スケール・プラモデルをベースに、細部に手を加えてこの後期フェイス仕様としたものだ。
プリペイント版でもパーツは使える!
使用したキットは下の写真の版だが、これは制作当時のもの。まず鉄仮面からグリル下部モールドを移植するため、当該部とグリル部分をくり貫く。市販車の鉄仮面はプリペイント版しか用意できなかったが、制作には問題ない。まずボディからくり貫いた顔面を移植。バンパー上部はダクトのモールドに合わせ1mmほど張り出させた。後期型はオーバーフェンダーの形も違っている。まず、しごいてクセを付けたプラ材をフロントフェンダー後端に接着、そこに合わせ大まかにプラ材を貼り付け、ヤスリで削り出す。ボンネットのNASAダクトはプラ板を折り曲げ合わせて形を出し、広げると左右対称なテンプレートができるので、これをガイドにタガネでくり貫いた。
フェンダーエンドをリューターで削り込み、プラ材に孔を開けたものでフタをする。別パーツのリアフェンダーはややズレがあるので、ボディと一緒に削って面を合わせた。リアエンドは後期用テールレンズに合わせリアパネルをプラ材で修正。ボディ全体を800番で面出しし、ドアノブは形状がイマイチなこともあって一旦削り落とした。プラ板とジャンクパーツでリアスポイラーを制作、エッジには真鍮のアングルを取り付ける。サブウィングもプラ板とジャンクパーツを使い、リベットを利用して固定した。
エンジン再現のため、フロントカウルはタガネとエッチングソーを使用して切り取った。エンジンブロックはフジミ製S30ZのL型を使用、切り詰めて4気筒にする。ミッション下部をカット、シャシーも不要部をタガネで切除し、モールドに合わせてエンジンを載せる。ヘッドカバーはプラ板のベースの上に細いプラ棒を並べ、軽く固定してから間を抜いて、リブ形状の再現に。エキパイは曲がるプラ棒、ターボユニットは1/20F1キットから流用した。
フレームはプラ材で作り、接合部を金属線で補強。ストラットはジャンクパーツを使った。エアクリーナーボックスはジャンクパーツを利用しプラ材で箱組み、KAモデルスのラジエターメッシュを貼り、プラ材でディテールを追加した。エンジンにはバイク用のエアバルブをプラグキャップに見立てて取り付け。バルクヘッドはにプラ帯でディテールを追加し、エンジンとともに取り付けてフロントセクションを構築していく。フレームは真鍮アングルで補強、ダクトはハンダを軸にスプリングで再現した。
デカールは協力モデラ―Y氏の尽力により自作品を用意、フィンタイプのホイールカバーはミニッツレーサーから流用している。