冬の時代を明るくしたロータリー・スペシャリティ
初代RX-7(SA22C型)は、コスモスポーツ以来久々のロータリー専用車として1978年春にデビューした。サバンナという車名こそ引き継いだものの事実上全くの新型車であり、ロータリーエンジンの特性を最大限に生かした本格的スポーツカーとして開発されたものである。
【画像78枚】一分の隙も無く国内仕様化されたRX-7と、その制作工程を見る!
レシプロなら2Lクラスに相当する出力を発揮しながら、圧倒的にコンパクトな2ローターの12Aユニットは、エンジン本体を前車軸より後方に置くフロントミッドシップ・レイアウトを可能とし、軽量な車体も相まって、優れた動力性能と高い運動性能を両立した。最大の輸出先アメリカの路上で異邦人的に見えることを狙ったというスタイリングは、ジェット戦闘機の風防にヒントを得たグラスキャノピーと、国産車としてはトヨタ2000GT以来となるリトラクタブル・ライトの採用により、日本車離れしたエキゾティシズムを獲得し、スーパーカーブームの余韻の中で大人気となった。
ただし国内では、スポーツカーに対して厳しい目線が注がれていた当時の社会情勢に鑑み、あくまでスポーツカーではなく高級スペシャリティカー、というエクスキューズの下で販売された。美しいルックスと優れた性能をアフォーダブルに実現したRX-7は世界中でヒットし、オイルショック時に被った「ロータリー=ガスイーター」という汚名の返上に成功した。その優れた資質からモータースポーツでも活躍し、デイトナやルマン、ETC、WRCなどで大きな成果を上げている。
ロータリー好きなら見逃す手はない傑作キット!
初代RX-7のプラモデルは実車現役当時に1/24や1/20で多くのメーカーからリリースされたが、現行品は長らくフジミとアオシマ(旧イマイ)のレースカー、マイクロエース(旧LS)の前期型ロードカーの3種のみという状況が続いていた。いずれも決定版とは言い難い内容だったが、その状況は2021年秋にハセガワから新規キットが登場したことで解決されている。
しかし、その少し前(2017年)にレベルから再販されたRX-7は、旧モノグラム金型によるキットの久々の復活版で、前期型ロードカー/レースカーの2in1、エンジン/シャシーが精密に再現されたフルディテール・キットであった。アメリカ製ながらスケールは1/25ではなく1/24、ボディのプロポーションはきわめて良好で、モノグラム絶頂期の製品らしく饒舌な質感モールド、そして何より、ハセガワ製キットには含まれていないエンジンもしっかりパーツ化されているのが魅力的だ。
ただし2シーターのアメリカ仕様なので、国内仕様を作る場合はサイドモールやフェンダーミラー、ステアリング位置、リアシート追加といった工作を要する。エンブレム・デカールにも「サバンナ」の文字が無いため、自作が必要だ。作例はそのあたりをきっちり作り込んで、国内仕様のトップグレード「リミテッド」を再現している。
アメリカ製プラモデルにしては部品の合わせも悪くなく、意外なほど作りやすい。そのままアメリカ仕様として作るのも一興だろう。エンジン付きで考えると初代セブンの決定版と言えるこのキット、今も入手できるようであれば読者の皆さんにもぜひ制作をお勧めしたい。
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