FUN! II GOLF リフレッシュ大作戦「ほんなもん、ゴルフIIに決まっとるがや」【VW GOLF FAN Vol.11】

気分が違う気持ちがいい

散々ゴルフIIのユーズドを販売し、IIでレースに参戦してきたという経験をもとに、鈴木さんは交換すべき部品を用意する。といっても、改めてどこかに注文するというのではなく、部品庫から引っ張り出してくるというだけ。スズキワークスでは、IIの消耗部品といわれるもののほとんどを在庫している。ディーラー並みの、いやIIに関してはディーラー以上のストックを有しているのだ。

(左上)ドライブシャフト・ブーツ、CVジョイント・シールキット。音、破れもなく、問題はなかったが……。(右上)フロントはそうでもないが、リアのハブベアリングは比較的、消耗度合の激しい部品とされる。(下)ドライブトレイン、サスペンション関連の整備をほぼ終えて、仕上げにかかる。ここまでやる必要はないとも思えたが、を長く乗ってもらうためには必要との判断だった。

新たに取り寄せたパーツといえば、ショックアブソーバー、タイヤ、バッテリーぐらい。この一点でも、スズキワークスのIIに対するサービス体制の充実ぶりがうかがえる。

(左上)FFの要のCVジョイントは、高価な部品でもあり、できれば定期的にメンテナンスしたい。(右上)グリースをタップリと注入。熱で消耗すると、シャフトが折損し、本当に走れなくなる。(下)スズキワークスでは、CVジョイント分解も日常的なようで、専用の作業台が存在する。

ATのオイルストレーナーとガスケット。スズキワークスらしいポイントを押さえた部品交換だ。

しかも、その在庫部品のほとんどが純正である。
「IIの純正部品は最近価格設定が変わって高くなってますが、やっぱり純正でしょ。使う側としても安心感がありますしね」

(左)サスペンションやブレーキ関連の部品交換も終わった、いわば完成図。美しい眺めだ。(右)リアはショックアブソーバーのみのようだが、シューなどもちゃんと交換されている。

いわゆる社外品は、使っても純正品質を持つもの、つまり純正部品を作っているメーカーのものをセレクトする、としている。

(左上)リアのバンプラバー。このクルマに付いていたそれは、すでにグズグズになっていた。(右上)フロント・サスのアッパーマウント交換は、リフレッシュにおいては定番中の定番だ。(下)ショックアブソーバーは、コストパフォーマンスに優れたモンローの“リフレックス”をセレクト。

エンジン関連の整備から始まった鈴木さんのリフレッシュ作業は、ドライブトレイン関連、サスペンション関連、ブレーキ関連と進んでいった。部品はすでの手元にあるから、途中で作業が滞るといったことはまったくない。いずれの部品交換作業も、鈴木さんにとっては何度も繰り返してきたことであって、考えずとも手が勝手に動くというレベルのもの。その素早さ、確実さには、やはり驚くべきものがあった。

(左)特にこだわったわけではないが、フロントのローターはロッキード製を選択。(右)フロントのブレーキパッドおよびリアのシューはAte製。純正を作っているメーカーだ。

(左)リアのドラムブレーキのホイールシリンダーも、もちろん交換予定部品となっていた。(右)リアのシューは、普通よほど減っていない限り交換しないが、鈴木さんはあえて交換。

(左)リアドラムの場合、なにしろドラムを外さなければ、メンテナンスは進められない。(右)ブレーキシューやホイールシリンダーを交換し、後はドラムをはめるのみ。

「特別なことはなにもしない」という鈴木さんだが、驚きはドライブシャフトのCVジョイントのメンテナンスまで軽くやってのけたことだ。通常、ここは音でも出していない限り、触るところではない。ブーツに亀裂があって、グリスが漏れ出ているといった場合はまた別だが、問題がなければそのままにしておくところ。が、鈴木さんは、アッという間にCVジョイントを分解、洗浄して、新たにグリスを入れ込んでいった。

(左上)前後のブレーキホースも、ゴルフのリフレッシュにおいては指定部品。(左中央)リアのホースが短いのは、トレーリングアームの上下運動に対応するだけで済むからだ。(左下)フロントはストラットが回転するため、ある程度長さに余裕がなければならないわけだ。(右)ブレーキホースを交換したなら、ブレーキオイルの充填、ラインのエア抜き作業も。通常、ふたりがチームを組んでの作業だが、鈴木さんは自動充填機を使ってひとりで行なう。

「普通は、なにもなければ触らないでしょうね。でも、CVジョイントというのは、FFドライブトレインの要のようなものじゃないですか。ここまで手を入れれば、気分が違うというか、気持ちがい
いじゃないですか」

スズキワークスのリフレッシュで特筆すべきは、サブフレームやサスペンション関連にシャシーブラックを施すことだ。

必要ないといえば必要ないが、きれいになることは確かで、鈴木さんの気持ちが伝わる。

さらに驚いたのは、フロントのサブフレームやサスのロワアーム、リアのトレーリングアームなどに、いわゆるシャシーブラックを施していくことだ。クルマが錆に弱かったその昔はともかく、いまさらシャシーブラックを吹くなんて工場はきわめて少ない。たとえ錆が出ていたとしても、ユーザーのリクエストがない限り、塗らないものだ。ところが、スズキワークスは丹念にスチームをかけて汚れを落とし、十分に乾かした後、シャシーブラックを吹く!

(左)タイヤは横浜のDNA・dBをセレクト。IIはロードノイズが少なくないクルマで、それを少しでも減らそうというわけ。(右)サスを交換、タイヤも新品というこの機会に、ホイールアライメントをチェックする。

スズキワークスでは、タイヤ交換、バランス取り作業も可能な体制を整えている。「なにかと役立ちます」と鈴木さん。

「だからどうなの? ではあるんですが、これも気分の問題ですよ。ボクの自己満足かもしれませんが、こうなってると気持ちがいいじゃないですか」
そういうところなのである、スズキワークスは。

(左上)お客様が決まっているわけではないので、ボディを磨く必要もないのだが、鈴木さんは本誌の撮影のため、セッセとバフ掛け。(右上)エンジンルーム側のワイヤーハーネスは、いずれ布テープでまとめていく予定だ。(下)エンジン調整を入念に行なう鈴木さん。イグニッション関連はコイル以外のすべてを交換しているから、まったく問題なし。

ズキワークスのユニークな点は、サスペンション関連のシャシーブラックがその典型だが、普段は見えないところまで美しく装うこと。ご覧のように、エンジンルームはスチームで徹底的に洗浄されるのである。

リフレッシュ大作戦が完了した’91年式CLi。鈴木さんにとって、ゴルフIIはスズキワークスを育てたクルマであり、愛着はひとしおだ。「このクルマ、ゴルフII好きの方に長く乗ってもらえたら嬉しいですね」という。

リポート:小倉正樹/フォト:谷瀬 弘 
取材協力=スズキワークス 052-793-5455 http://www.suzukiworks.co.jp

VW GOLF FAN Vol.11から転載

■関連記事

2021/01/17 12:00

関連記事

愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?

複数社を比較して、最高値で売却しよう!

車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。

手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!

一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!

【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>

注目の記事

「ル・ボランCARSMEET」 公式SNS
フォローして最新情報をゲット!