キャブ周りの形状変更に注力して実現!
フジミ製1/32スケール・プラモデルの三菱ふそうキャンター(T200型)から、日産キャブオール(C240型)へと改造した作例とその実車については、前編の記事(下の「関連記事」参照)にてすでに述べた。そこで触れた通り、この作例は自動車模型専門誌「モデルカーズ」223号のために制作されたものである。ここでは、そのときに作例と一緒に掲載された、作者・棚瀬氏による解説をお読みいただこう。
【画像36枚】ディテールの自作から塗装・仕上げまで、その制作工程を見る!
「日産キャブオールは、日産自動車が初のキャブオーバー型トラックとして1957年から1981年まで生産していた中型/小型トラックである。今回制作したのは、初代登場から9年後となる1966年にモデルチェンジを受け、横型4灯のヘッドランプを持つ二代目(C240型)である。
当時の日産のトラックと言えば、個人的には、プリンス自動車工業と日産自動車の合併後も引き続き製造された、楕円に十字グリルのクリッパーの方が記憶に残っているが、直線基調の機能的なデザインのキャブオールも、今見るとなかなかに味わいのあるクルマである。
製作の元となるキットには、実車の登場年代が近く、シルエット(特に屋根や窓周り)も似ており、しかもホイールベースがぴったり一致する、フジミの三菱ふそうキャンター(T200型)を使用した。シャシーの形状の違いは目をつぶり、架装メーカー(日本トレイルモービル)のパネルバンを載せることで、キャブ周りの改造に注力し、非力な私でもなんとか完成に持ち込みたいと目論んだものである。
なお、実車にこのような高床後輪ダブルタイヤでパネルバン仕様があったのか、と聞かれると、カタログには記載がなかったが、トラックでは改造申請を出して荷台を変えることもあるそうなので、多分世界に1台くらいはあったのではないだろうか(注:この点については前編の記事も参照のこと)。
正確な再現ではなく雰囲気を重視して
また、キャンターのキャブのパーツを芯にしたことから、キャブの形状変更にあたっては、実車の寸法をきちんと縮小して制作しているものではない。キットと実車の画像それぞれのフロントウィンドウの高さの寸法を定規で測り、その比率を実車の画像から測った各部の寸法に乗じた数値をもとに、形状を改めていったものである。実車の完全再現派の方々には申し訳ないが、そんなお気楽な作例であることはご了承いただきたい。
改造のポイントとしては、フジミのキャンターがとても繊細なディテールを持つ良キットなので、自分が改造した部分がキットそのままの部分と釣り合うよう心掛けたつもりである。キャブの塗装は編集部(注:モデルカーズ編集部)の指示が青ということなので、カタログの写真を参考に、縮尺を考慮してすこし彩度を落として調色している。
今回も基本的な制作方法はプラ板を切って貼って削っての繰り返しの積み重ねであり、特殊な道具や技術を用いての制作ではない(まあ、逆に言うとそうでなければ作例を受けられない)。この記事を読んでやってみようと思われた方は、ぜひチャレンジして欲しい」
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