【比較試乗】「VWゴルフ vs メルセデス・ベンツ Aクラス vs BMW・1シリーズ」独占取材! 最新のゴルフVIIIを現地比較試乗

ゴルフを超えるのはやはりゴルフなのか

MQBをベースにしたゴルフVIIIのボディは先代に対してひと回り大きくなったものの、今回の3台の中では最小。ただし、室内は前後席も荷室も十分に広く、運転席からの視界も最も優れていた。オプションだが14通りの調整ができるスポーツシートは素晴らしく快適で、ホールド性も万全だった。

新型ゴルフのハイライトはデジタル化というよりもむしろ巧みなコストコントロールにある。

FF化された1シリーズは、ゴルフに次いで室内の居住性、荷室の使い勝手が優れていた。ただし、後席開口部の敷居はほんのわずかだが3車の中では高く、乗降時に足元に気を配った。Aクラスも2車とほぼ変わらないスペースを確保しているが、全長がゴルフより13.5cmも長ければもっとルーミーでいいはず。Aクラスのデザイナーは、スタイリングと空力特性に重点を置きすぎたのかも知れない。ただし、コクピット回りをはじめインテリアのデザインとクオリティは、3車の中で最もモダンで素晴らしかった。

フォルクスワーゲン・ゴルフ1.5eTSI

パフォーマンス面で光ったのはやはり最新のゴルフだ。今度のゴルフはインフォテイメントの充実、デジタル化に目を向けており、内装関係でのコストセーブが目立つが、シャシーは電制の可変ダンパーをESCのセンシングと連携させて応答性を上げ、快適な乗り心地を得ている。また、ステアリングシステムのチューニングも、一層軽くシャープでスポーティなフィールを与えることに成功している。写真のテスト車はウィンタータイヤでややソフト過ぎる感じがあったが、後にサマータイヤ装着車をテストしてシャシーの優秀さをあらためて実感した。

メルセデス・ベンツA200

FRからFFへと大きく舵を切った1シリーズだが、BMWはついに洗練されたFFシャシーのノウハウ、BMW流のFFを発見したようだ。全体的に乗り心地はやや硬めのセッティングながら、スポーティなハンドリングはまさにBMWのそれ。ステアフィールはやや人工的でゴムを捻るような重さを感じるものの、操安性、取り回しの良さはゴルフに比肩する。

BMW・118i

Aクラスもシャープなステアフィールだが、やや人工的。最もパワフルなのでエンジンのピックアップ、加速感は鋭いが、スロットルを踏み込むと若干のトルクステアが伝わってくるのは残念だった。

フォルクスワーゲン・ゴルフ1.5eTSI

というわけで今回、3台を代わる代わる試してみたが、やはりゴルフは8世代目になってもクラスのベンチマークであることが確認できた。特にステアリング特性と快適な乗り心地は特筆に値する。デジタル表示はややチープで操作には慣れが必要だったり、先代と比べて多用されるプラスチック、ボンネット内側の未塗装部やキャンセルされたダンパー等々のコストセーブは残念だが、総じて理解はできる。代わりにデジタル化やシャシー改良にきちんとコストを振り向けているからだ。48Vのマイルドハイブリッドも秀逸で、アイドリングストップのように今後のスタンダードになる技術だ。今度のゴルフも、誰が選んでも間違いのないクルマだと断言しよう。

メルセデス・ベンツA200

FF化によってルーミネスとなった1シリーズだが、実は前席ほど後席の居住性は向上していないという印象を受けた。118iの3気筒エンジンはバイブレーションやノイズは気にならないものの、パワーがエンジン屋のBMWらしくないのは残念。随一のスポーティなハンドリングを最大限に活かすならば、やはりそれなりのエンジンパワーは欲しいというのが正直なところだ。

BMW・118i

今回Aクラスにあらためて乗って、ゴルフに近づこうとした意図がよくわかった。ただし、デザイン重視のボディは実用面でやや劣る。アドバンテージは、正確で効果のわかりやすいADAS。そして、メルセデスが先陣を切った高度なAIによるMBUXのクオリティの高さ。ブランドにこだわるオーナーはきっと満足するはずだ。

フォト=アヒム・ハルトマン/AH.Hartmann ルボラン2020年5月号より転載

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