毎年、数多く登場する輸入車のニューモデル。モデルチェンジサイクルが長い、という印象の輸入車も、最近では以前よりも早く新型に切り替わる。また、人気のある車種では、バリエーションが国産車並みに豊富にカタログに載っており、発売中のニューモデルはどういうクルマなのか、そしていったいどれを買ったらいいのか……という悩みも増えているように思う。
そこで新たに、発売中のニューモデルを俯瞰的な角度から掘り下げてみることで、車種ごとのアウトラインを掴みやすくなる記事をスタートする。第1回は、輸入車の代表格で人気車種の「BMW 3シリーズ」からスタートしよう。
(車種概要)現在発売中の3シリーズって、どんなクルマ?
・完全進化のフルモデルチェンジ 日本では2019年から発売開始
2018年10月のパリモーターショーで発表、日本では2019年3月から発売を開始した新型(現行型)3シリーズは、メルセデス・ベンツCクラスやアウディA4などの競合がひしめく「Dセグメント」で勝ち抜くべく、走りや質感を大幅に進化させた。アイデンティティーである「スポーツセダンのベンチマーク」としての存在感も、さらに磨きをかけている。コードは「G20」で、先代の「F」を飛び越え、最近のBMW各車同様のアルファベット「G」が与えられた。
車体寸法は先代よりも大型化。基本モデルの320iセダンで見ると、全長×全幅×全高は4715×1825×1440mm、ホイースベースは2850mmで、先代の320iセダンと比べ、それぞれ70mm長く、25mm広く、ホイールベースも40mm延長。それでいて先代モデル比で最大55kgの軽量化を実現した。安全性能も高く、Euro NCAP(ユーロNCAP)で最高評価の総合5つ星を獲得。2020年RJCカーオブザイヤー・インポート、2019-2020 インポート・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのもトピックだ。
・パワーユニットを豊富に用意 先進運転支援機能も充実
パワーユニットは計5種類を用意。それに合わせ、「320i」「330i」「320d」「330e」「M340i」をラインアップする。駆動方式は従来通りFR とxDriveと呼ばれる4WDで、BMW伝統の約50:50の前後重量バランスも守られている。パワートレーンの種類が多いことに応じてグレードは豊富で、内外装をスポーティに装い、足回りをチューニングした「M Sport」も引き続きカタログに掲載している。
インテリアでは、デジタルメーター・タッチ式インフォメーションディスプレイを採用。音声認識機能のBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントも話題の装備だ。予防安全にも抜かりはなく、3眼カメラ+衝突回避・被害軽減ブレーキによって、さらに安心・安全なドライビングを実現。高速道路の渋滞時、アクティブ・クルーズ・コントロール作動時という条件下ならステアリングから手が離せるハンズ・オフ・アシストも搭載する。
・ツーリングも新型にスイッチ クーペ版「4シリーズ」は先代モデルを継続
3シリーズでは、2代目から継続して発売されるステーションワゴン「ツーリング」も人気が高い。新型でももちろん登場し、セダンと遜色ないほどのバリエーションから好みのグレードを選べる。なお、ツーリングのコードは「G21」。一方、先代からクーペモデルは「4シリーズ」(F32/F33/F36)として派生したが、こちらは2020年4月現在まだG 20ベースにスイッチせず、継続して発売中だ。モデル末期ゆえ熟成は極められており、あえて狙うという選択もあるだろう。