IペイスはBEVの新しい価値観を生み出した
そして最新のジャガーIペイス。スペックをみれば他の2台とまったく違うのがわかる。バッテリー容量は90kWhで航続距離は438km(WLTC)、モーターは前後に搭載され総合では400ps、696Nmと桁違い。大型サイズのため車両重量は2250kgにおよぶがそれでも速さは別格だ。
e-ゴルフやi3は世代が古いこともあってエンジン車よりも静かな分、ロードノイズが耳につきやすかったが、Iペイスは最新世代で高額車だけあって静粛性は完璧。シャシーは少し上下動が残りやすい面があるものの、しなやかさと操縦安定性のバランスがいい。
圧巻なのは加速感。アクセルを床まで踏みつけるのなら、首に力を入れてかまえていなければならないほどでロケットスタートしていく。低速域で力強いのはもちろん、伸びも相当なもので100km/h以上でも太いトルクによる自在な加速感がある。しかも、力強いだけではなくどこか品のあるトルク特性となっていてモーターにもジャガーらしさがあるのが秀逸だ。燃費は一般道4.0km/kWh、東名高速道路の90km/h目安が5.1km/kWh、110km/h目安4.5km/kWhだった。
e-ゴルフはBEVの基本的な魅力を持っていたものの、ブランド特有の個性にまでは踏み入っておらず、i3は軽さを追求することでBMWらしさが表現されていた。そして第2世代に入ったIペイスは、BEVだからというネガがほとんどなく、モーターのトルク特性やシャシーにもジャガーらしさが全開だ。環境対応車といえども、ユーザーに買いたいと思わせる魅力がなければ普及はままならない。これからのBEVはエンジン車以上に個性を追求していくことが求められるのだろう。各ブランドのセンスによってどんなモデルが出てくるのかが楽しみだ。
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