ジャガーFペイスS vs メルセデスAMG GLE43 4マチック・クーペ、今回のテストはSUVの考え方に一石を投じる結果に!【清水和夫のDST】#75-1/4

GLEはコテコテのアメリカンSUV風味

好きか嫌いかと聞かれたら答えに困る。というのは、GLEクーペの乗り味は、昔流行ったフレーム構造のSUVを思い出すほどゆったりとしているからだ。一見オヤジ世代に向いているモデルかと思うが、外観やエンジンなどはスポーツを意識している。つまりGLEクーペが採用する4ドアクーペのデザインとAMG風味のV6ターボは、いかにもホットなSUVを示すコンテンツではあるが、実際のハンドリング性能とは似合わない。ステアリングを切るとキャデラック・エスカレードを思い出し、スロットルを踏むとBMWのX6のように鋭く加速する。どうみてもマーケットリサーチから生まれたモデルだと思った。

それでも安全性には細心の配慮を行っている。例えば高速でステアリングを切ると、手応えがズシッと重く感じる。あえて重くすることでステアリングを切りすぎないように工夫しているのだ。しかし、同じ2.3トン級のSUV、たとえばポルシェ・カイエンやBMW X6と比べると、ダイナミック性能に不満は残るので、ハードウエアの基本性能を高めてもらいたい。だが、新型Eクラスの比類なき完成度を考えると、次期GLEは爽快感溢れるハンドリング性能が提供されるはずだ。

対するジャガーFペイスは、当初BMWのX3をベンチマークとして開発されていた。しかしその後、ポルシェ・マカンが登場した。開発陣はこのままではマカンの後塵を拝する恐れがあると、急遽ターゲットを変更。マカンを超える運動性能を実現することに専念したという。その甲斐があって、ガソリンエンジンを積むFペイスは、驚くほど完璧なダイナミクスだ。
ジャガーもSUVを作る時代になったと思うか、ジャガーにSUVを作らせたらどんなSUVになるのかと期待するか。両方の考えがあると思うが、私は後者だった。ポルシェ、BMW、ジャガーと走りを得意とするブランドが作るSUVのポテンシャルは、期待を超えてくる。近い将来はアルファ・ロメオのSUVも登場しそうなので、このセグメントの競争はより激しいものになるだろう。
Fペイスは、実用性と走行性能を高いバランスで維持した、SUVの新しいスタンダードを作ったと言えるかもしれない。高級車メーカーとスポーツカーメーカーのDNAを持っているし、新世代に移行したジャガーの一貫性を十分に感じることができた。そうした意味で、このFペイスは現ジャガーの集大成と言ってもいいだろう。
ところがGLEもFペイスも、このままで良いとはいえない時代がやって来ている。私の感覚では電動駆動(ハイブリッド)やオートパイロット(高度な運転支援システム)が備わっていないクルマは、携帯電話のガラケーになってしまう懸念もある。スマホのようなトレンディなSUVだと思わせるには、これらの機能は不可欠。ユーザーは時代の変化に敏感だということを忘れてはいけない。

リポート:清水和夫 フォト:篠原晃一 ル・ボラン 2016年12月号より転載

■関連記事

関連記事

愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?

複数社を比較して、最高値で売却しよう!

車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。

手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!

一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!

【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>

注目の記事

「ル・ボランCARSMEET」 公式SNS
フォローして最新情報をゲット!