アリゾナでは「マクラーレン720Sスパイダー」に加え、もう1台の「スパイダー」に試乗できた。その名は600LTスパイダー。スポーツ・シリーズ初のLT(ロングテールの意味)は、その名を持つモデルの伝統に従い、サーキット走行で最良の一面を見せるが、それは600LTスパイダーでも同じ。ステアリングの感度を上げて「アジリティを高めた」と主張する巷のスポーツモデルとは異なり、600LTはZ軸を中心とする慣性モーメントが圧倒的に小さく、わずかな操作にも瞬時に反応する俊敏性を備える。オープン化に伴うデメリットが事実上存在しないのは720Sスパイダー同様。ただし、信号待ちの際に伝わるエンジン・バイブレーションはLTだけの個性で、ドライバーを奮い立たせてくれる。
リポート:大谷達也/T.Otani フォト:マクラーレン・オートモーティブ ル・ボラン2019年5月号より転載
TAG :