SAVの先駆的モデルとして人気のX5が、エクステリアおよびインテリアデザインをよりモダンなデザインとしてマイナーチェンジ。実はパワートレインにも大幅な改良が施されていた!
電動化したM60iはM直系となるS型を搭載
2023年4月、X5がマイナーチェンジを実施した。1999年に初代が誕生し、現行型は4代目として2019年に投入。フェイスリフトを施した新型は、エクステリアに矢印型デイライト機能を備えたLEDヘッドライトを新採用。リアには、X字型LEDコンビネーションライトによりXモデルであることを表現している。
パワーユニットは、xDrive45eが50eに進化。3Lの直列6気筒ターボエンジンの最高出力が286psから313psに向上し、モーターと合わせたシステム総合出力は486psに到達。外部電源による充電可能なPHEVであり、モーターでの航続距離は80kmから100kmに伸びた。
最強モデルのxDrive M50iもM60iに進化し、4.4LのV型8気筒ツインターボエンジンに48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせてきた。数値上の性能は同じだったので電動化だけと早合点していたが、エンジン形式が従来のN型からS型に。つまり、Mハイパフォーマンスモデル用のエンジンが搭載されたわけだ。だが、性能はX5Mに届いていないので、デチューン版ということになる。
それでも、日常的な場面ではM直系エンジンらしい低く唸るような音が耳に届く。その刺激に誘われてアクセルを踏み込むと、爆発力の大きさを知らしめるような鼓動音を発する。エンジン回転数の上昇とともに、鼓動が高密度で連続。クォーンという快音を響かせながら、7000rpmに迫りそうな鋭さで一気に吹け上がる。
走行モードがスポーツなら、Mスポーツエキゾーストシステムを装備するため、その過程での音量が増し音質も澄んでくる。刺激がさらに高まり、加速の臨場感が演出され2390㎏に達する車重を意識しない勢いを感じる。
ただ、新たに組み合わされたモーターは12psを発揮するだけなのでフル加速時にはエンジンのブースターにはなっていない。一定速度から加速に移る場面では、応答性を向上させる役割は果たしているはずだ。
さらに、S型エンジンとなったことで2基のターボそれぞれに2系統ある導入口に両バンクから排気エネルギーが充填されるクロスバンクエキゾーストマニホールドを採用。そもそも、この特許技術によりアクセル操作に対する応答遅れはゼロレベルとなる。
また、走行モードがコンフォートなら低速域でアクセルを戻すとエンジンが停止。コースティング状態となる場面が多くなり、燃費の向上の効果が期待できる。実際に、日常的な場面では発進時にモーターのアシストも加わるためWLTCモードでは従来型の8.0km/Lから8.5km/Lに燃費が改善しているのだ。
サスペンションは、Mパフォーマンスモデルらしく引き締まった設定となる。走行モードがコンフォートなら、荒れた路面で左右のタイヤにバラバラな入力が伴うと直進状態でも横揺れするヘッドトスが気になることもある。スポーツにすればダンパーの減衰力が高めの領域を維持するので、それが回避される。したがって、路面状態によってはコンフォートよりもスポーツの方が乗り心地が快適に感じることさえある。
なお、新型X5は当初の2モデルに加えて2仕様の3L直列6気筒ディーゼルターボ搭載モデルが8月に追加投入されている。
【Specification】BMW X5 M60i xDrive
■車両本体価格(税込)=15,200,000円
■全長×全幅×全高=4935×2005×1770mm
■ホイールベース=2975mm
■トレッド=前:1680、後:1690mm
■車両重量=2390kg
■エンジン型式/種類=S68B44A/V8DOHC32V+ツインターボ
■内径×行程=—
■圧縮比=—
■総排気量=4394cc
■最高出力=530ps(390kW)/ 6000rpm
■最大トルク=750Nm(76.5kg-m)/1800-4600rpm
■燃料タンク容量=83L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=8.5km/L
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/エア、後:マルチリンク/エア
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:275/40R21、後:315/35R21
問い合わせ先=BMWジャパン TEL0120-269-437
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