MT限定のツインカム搭載車、2000GT
二代目セリカXXとそのマイクロエース製プラモデルに関しては、前編の記事(下の「関連記事」参照のこと)で説明した。このプラモデル作例は、自動車模型専門誌「モデルカーズ」234号(2015年)における巻頭特集用に制作されたものである。後編では、そのとき掲載された作者・北澤氏による文章をお読みいただこう。
【画像48枚】マイクロエース製はいかに仕上げられたか、その詳細を見る!
「二代目セリカXX(A61型)のプラモデルは、実車現役当時にタミヤ、アオシマ、フジミ、ニチモなど多くのメーカーが手掛けたが、今回取り上げたマイクロエース製キットはエルエスの金型を引き継いだもので、定番品として現在もカタログに載っている。
エルエス製キットは強いディフォルメが目立つものが少なくないが、このキットは比較的実車の形に忠実な作りで、プロポーションの良さでは前述の他社製キットを凌ぐ。リトラクタブル・ライトは開閉可動式、スライディング・ルーフは実車さながらに下がりながらスライドして天井裏に収納される。モーターライズゆえダッシュボードの下には電池箱が鎮座しているが、配置が巧妙でインテリアのディテールにはほとんど影響がない。
ただしこのキット、考証上の不備がいくつかある。箱には1983年式と明記されており、同年8月マイナーチェンジ以降の後期型で初めて設定されたドアミラー仕様だが、外装細部のモールドは前期型である。後期型としてはフロントのバンパー周りとリアコンビランプとホイールの形状が違い、前期型としてはフェンダーミラーが不足、ということになる。また付属のデカールはなぜか輸出仕様セリカ・スープラのロゴマークしか無く、キットは右ハンドルなので全く使えない。
そこで今回の作例では、フェンダーミラーをフジミの板シャシーキットの共通ランナーから流用(ほぼそのまま使える)、デカールはすべてレーザープリンターとスタンピングリーフによる箔押しで自作した。せっかくデカールを作るのだからひと捻りした方が面白いということで、あえて最上級グレードの2800GTではなく中間グレードの2000GT・ツインカム24にしてみた。
シフトノブを自作・タイヤも変更!
豪華なダンナ仕様の2800GTに対して、2000GTはマニュアルミッション限定のスポーツグレードであり、1982年8月(この時に追加された)以降の実車カタログではトップグレード扱いになっている。キットにはATセレクターしか入っていないので、レザーブーツ付きのMTシフトノブをプラ丸棒と光硬化パテで自作した。シャシーはトレッドを拡げた以外はキットのまま。付属のタイヤはサイズ・形状ともに今ひとつなので、アオシマの70カローラに入っている厚くて細いピレリP7に交換した。
A61前期型のボディカラーはスーパーレッド、スマッシュホワイトのソリッド単色のほかに、シルエット・トーニング(ガンメタ/ブラック)、ストリート・トーニング(レッド/ブラック)の2種の2トーンがあり、この中で唯一ストリート・トーニングだけがフロントバンパーが赤となる。AE86レビン/トレノにも似た感じの2トーンは、いかにも1980年代トヨタ車らしいカラーリングだ。
デカールの問題が少々厄介だが、30数年前の金型としては望外に出来の良いキットなので、改めて注目していただきたい。またメーカーには、ぜひデカールの改良をお願いしたい。それだけで大化けする素質を持った、隠れた逸品である」
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