セリカのノーズを伸ばして6気筒を搭載
GRスープラとして復活した、トヨタのスポーツカー/GTカー、スープラ。そのルーツがセリカXXである、というより、その海外仕様の名がスープラであったことはよく知られている。スペシャリティカーとして成功を収めた初代セリカは1977年にモデルチェンジ、二代目・A40型系へと進化した。このセリカの派生車種として、ノーズを延長し直列6気筒エンジンを載せたのが、初代セリカXX/スープラであった。
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北米向けネーミングが別名となったのは、「XX」という語が、彼の地ではポルノ映画のレーティングを表わすものであったからだという。正確には、レーティングそのものは「X」しか存在しなかったのだが、ポルノ業界自ら「XX」や「XXX」といったランク付けを勝手に作り、逆にその過激度をアピールしたということだ。なお、スープラという名称は、ラテン語で「至上」「最高」といった意味を表すという。
初代セリカXXには、クラウンやマークⅡ用の直列6気筒、2.6Lの4M-EU(最高出力140ps)と、直6 2LののM-EU(125ps)が搭載された。セリカにはクーペとリフトバックがあったが、XXはリフトバックのみ。フロントマスクは角型4灯ライトの精悍な顔つきに改められ、インテリアもワイン色などが基調の豪華なものとされた。サスペンションはセリカのまま前ストラット/後4リンクだったが、1980年のマイナーチェンジで、セリカともどもリアサスがセミトレに変更されている。エンジンも2.6Lから2.8Lの5M-EU(145ps)にスイッチ。そして1981年7月、セリカと共にモデルチェンジされたのである。
こうして登場した二代目XXであるが、初代同様に、ボディ形式はリフトバックのみ。このA60型系セリカでは、フロントノーズ先端をスラントさせ、その斜めの面にそのままポップアップ式のヘッドライトが配されていたが、XXではリトラクタブルライトを採用していたのが最大の違いであった。このためXXではホイールベースだけではなくオーバーハングも延長されている。なお、ホイールベースはセリカの2500mmに対し、XXでは2615mmとなる。
搭載エンジンは、同年2月に先にデビューしていた初代ソアラと同じ、直列6気筒DOHC 2.8Lの5M-GEU(170ps)。このユニットを積む2800GTをイメージリーダーとし、5ナンバー・モデル用には直6 OHC 2Lの1G-EU(125ps)を採用。こちらには上からG、S、Lの各グレードを設定。サスペンションは前ストラット/後セミトレで、リアが4リンクに戻ったセリカとは差別化されている。また、足周りのセッティングをロータスが担当したのも話題となった(CMなどにはコーリン・チャップマンが出演)。
デビュー後、明らかに手薄である5ナンバー・モデルの充実が図られる。1982年2月にはターボ・エンジン搭載車を追加。これは1GではなくM型にターボを装着した直6 OHC 2LのM-TEU(145ps)で、グレードはGとSが設定されていたが、ミッションは4速ATのみとなる。さらに同年8月にはようやく2Lにもツインカムが登場。直6 DOHC24バルブ 2L の1G-GEU(145ps)搭載モデルが加わったのである。これは2000GTという1グレードのみの設定で、ミッションはターボとは逆に5速MTだけが組み合わされていた。
1983年8月にはマイナーチェンジで後期型へ移行。フロントはバンパーのウィンカーが側面まで回り込む形となり、リアハッチとリアバンパーはブラック仕上げからボディ同色に変更された。エンジンラインナップは前期と変わらないが、5M-GEUは最高出力を175psへとアップ。M-TEUにはインタークーラーが装着され、こちらも160psへとパワーアップしている。グレード構成は、Lが落とされた以外は変更なしであった。そして1986年2月のモデルチェンジで、日本国内モデルもスープラへと車名を改めたのである。これは同時に、ベースがセリカではなくなった時でもあった。
硬派なグレード・2000GTとして各部をアレンジ
リトラクタブルライトのスタイリッシュさで大いに注目を集めたA61セリカXXは、その人気を反映してプラモデル化も少なくなかった。1/20スケールではバンダイとエルエス、1/24スケールではタミヤやフジミ、アオシマやマルイ、ニチモなどが製品化。エルエスでは1/24スケールでもキット化しており、これはアリイ(現マイクロエース)に金型が引き継がれて、現在(2023年3月)も入手可能である。ここでお見せしているのは、このエルエス金型のXXを仕上げた作品だ。
エルエスがキット化したのはトップグレードの2800GTだが、作例は2000GTとして制作。これは、キットにグレード名を示すデカールが含まれていないためでもある。ボディ形状は非常に良好なだけに、足周りのセッティングなど細部の仕上げに注力して仕上げた作品なので、その制作工程は大いに参考になるだろう。詳しくは、工程写真に付したキャプション、そして追って公開する後編の記事をお読みいただきたい。
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