円やかなボディフォルムを徹底的な磨き作業で輝きの極致へ!タミヤ製「カルマンギア」を美麗フィニッシュ【モデルカーズ】

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ビートルのシャシーを利用した美しいクーペ

世に「美しいクーペ」は数多いが、フォルクスワーゲン・カルマンギアがその代表的な1台であることに異論のある方は少ないだろう。あのビートルの基本コンポーネンツを流用して、美しいボディを架装した2+2の2ドア・クーペおよびカブリオレ、それがカルマンギアである。

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カルマンギアはそのネーミングの通り、カロッツェリア・ギアによるデザインを元に、コーチビルダーのカルマンが製造を担当する形で、1955年に(1956年型として)デビューした。ビートルと言えば「第二の故郷はアメリカ」というような言い方があるが、このカルマンギアもアメリカとは縁が深いモデルである。当時のギアはクライスラーとのコラボレーションで知られており、数々のショーカーを製作していたのだが、その中に、このカルマンギアとスタイリング的にとても類似したものがあり(1953年のクライスラー・デレガンス)、カルマンギアの形はその発展形あるいは縮小版と考えられるのである。

当初はクーペのみであったカルマンギアだが、1957年にはカブリオレを発表し、1958年型として発売。1960年型からはボディ前後に変更が加えられたため、前年型までのモデルが特に初期モデルとして珍重されている。外観上では、フロントの開口部が小さく、テールレンズも小さく四角いものが装着されているのが初期モデルの特徴で、日本では「角テール」の名称で通じるようだ。1960年型では、テールランプが三日月型となり、フロントのルーバーも幅が広くなって、見慣れた姿に進化している。

1966年型ではエンジン排気量を1.2Lから1.3Lに拡大、最高出力も34hpから40hpへとアップ。翌1967年型ではエンジンをさらに1.5Lへと拡大し、出力は44hpとなった。そして1970年型では最後のエンジン改良で排気量1.6Lとなり、最高出力は50hpにまで向上している。もちろんこうしたエンジン改良は、ビートルのそれに準じて行われた。

1970年型ともなるとモデル末期であり、安全対策として灯火類の大型化も行われている。それまでは平たいテールランプがリアフェンダー後端に取り付けられた形だったが、この年からはリアのコーナー部がそのままテールレンズとなり、その下に後面と側面をカバーするリフレクターを装着。フロントのターンシグナルも、リフレクターを組み込みサイドまで回り込んだ四角い形のものとなる。1972年モデルではテールランプがさらに大型化、前後バンパーも大きくゴツいものに変更された。そして1973年、生産を終了している。

ボディフォルムの再現に優れるタミヤ製キットを磨き倒す
カルマンギアの1/24スケール・プラモデルはタミヤとグンゼ(現GSIクレオス)のキットがあり、いずれも中期型(ただしこれは外観上での大まかな分類。グンゼは1963年型、タミヤは1966年型)を再現している。いずれもフォルクスワーゲン・ビートルのキットのバリエーションとして製品化されたものであり、そしていずれも現在は絶版である。グンゼ版はルーフを別パーツとして、クーペとカブリオレの両方が制作可能であるのが特徴で、一方タミヤはクーペのみの再現であるが、エンジン付きモデルであるのがアドバンテージだった。

さて、ここでお見せしているのは、このタミヤ製カルマンギアを制作したものである。キット自体は非常に良好な内容を持つものであり、特に手を加える必要はない。作例も少々のディテールアップを施したのみだ。制作にあたって特に力を入れたのは、ボディの研ぎ出しをいかに美しく行い、その流麗なボディフォルムをいかに際立たせるか、という点である。これについては工程写真のキャプションを読んでいただければよく分かるだろう。ただし、ここで用いられているコンパウンドやポリッシャーが必須アイテムということではないので、その点を念頭に置きつつ参考にしていただければ幸いである。

作例制作=ダッズ松本/フォト=羽田 洋 modelcars vol.196より再構成のうえ転載

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