モノコックにエンジン一式を剛結!
近年ではオークションでの落札価格が上昇傾向にあり、昨2022年には4.5億円で落札されたという、フェラーリF50。その車名が示す通りに、フェラーリの創立50周年を記念して送り出されたモデルであり、エンツォ・フェラーリ亡き後最初のスペチアーレでもある。
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その発表は1995年3月のジュネーブモーターショーでのことで、実際には50周年より若干早かったという。エンツォの息子であるピエロ・フェラーリが設定したコンセプトは、「公道を走れるF1」というもの。その言葉通り、F50の車体構造はF1マシーンに近いものだった。
何よりもまず、搭載されたエンジンはF1マシーン用のものをベースに開発された。1988~1992年のフェラーリF1のものをベースとしたこのエンジン(ティーポF130A)は、65° V型12気筒DOHCという基本スペックを受け継ぎつつ、排気量を3.5Lから4.7L(4698cc)へと拡大したもので、最高出力は520hpと公表されている。これに組み合わされる変速機は6速MT。このエンジンとミッション、そしてデフが一体となってモノコックに剛結されるという基本構造が、まさに「公道を走るF1」たる所以である。
このモノコックはカーボンコンポジット製で、前方にはラジエターと補器を支えるチューブラーサブフレームを配置。さらにサスペンションは前後ともダブルウィッシュボーンだが、ダンパーを車体側上部に置くプッシュロッド式を採用するあたりも、まさにF1であった。こうしたシャシーを包むボディはピニンファリーナによりデザインされたもので、前作F40に比べるとより洗練されたものとなっている。トップは取り外し式(デタッチャブル)だが、その着脱作業は工場での作業が必要であった。そのため、オープン状態でのドライブ中の降雨に対応するための簡単な幌が備わっていた。
インテリアは、たとえばドアトリムが装備されるなど、F40と比べると実用性や快適性を重視した印象であるが、「ほぼF1」の車体構造のため、その乗り心地はかなりスパルタンなものだという。エアコンは装備されたがウィンドウは手動式であった。ボディカラーはF40がレッドのみであったのに対し、F50では5色を設定、そのうち4色(レッド、イエロー、シルバー、ブラック)には色調違いで2種類ずつが用意されたという。
エンジンのディテールアップは程々&適宜アレンジで!
前編(下の「関連記事」参照)で述べた通り、ここでお見せしているのはタミヤ製1/24スケール・プラモデルのF50を制作した作品だ。特に改造を要するキットではないので、各部に的確なディテールアップを行って仕上げたのみだが、ボディ塗装などの美しいフィニッシュも相俟って、非常に見応えのある作品となっている。ではここで、前編に続いて作者・Ken-1氏のコメントを、細かな組み立ての部分についてお読みいただこう。
「エンジンのディテールアップですが、僕個人が意識している点は、程々で手を引く、です(笑)。全体のバランスを見ながら追加する箇所、省略する箇所を考え、ワンポイント的に目を引く箇所を作ってやるようにして、全体の緊張感(ハッタリ)を出すようにしています。そして最後に、いい感じに嘘をつく、です(笑)。 やはり完全再現は難しいので、バランスを取るために、実際にはない配線や取り回しをそれっぽく処理してしまいます。模型的ディフォルメですね。
以上の点をふまえてパイピングを施していくのですが、今回のF50はエンジンとボディの組み込みが独特で、シャシー側でなく、仕上がったボディに後ろ向きに差し込み、車軸を基点に回転させるように組み込みます。よって、どうしても事前にすべての追加ディテールを仕込む事が出来ない訳です。ですので、ボディとエンジン、そしてシャシーと内装、全て組み上がった後、さらにパイビングを追加するという特殊な段取りとなりました。
と、こういうわけで、なかなか普段のカーモデルのセオリーから離れた段取りの組み立てを要するF50。これはやはり実車同様に、どちらかというとF1キットに近い感覚とも言えます。しかし上手く仕上がると、それだけの甲斐ある素晴らしいフォルムとディテールを味わえる、満足度の高いF50を手に入れることができますよ!」
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