華麗にデビューした”TOYOTA 3000GT”
15年以上の年月を経て復活した、トヨタのスポーツカー/GTカー、スープラ。その初代モデルにあたるのが、1986年2月に登場したA70型系スープラである。このモデルが初代となるのは国内市場でのことで、北米市場では三代目スープラにあたる。これは、日本国内向けモデルはそれまでセリカXXを名乗っていたことにより発生した食い違いであった。
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当初のA70のボディサイズは先代A60型系セリカXXと同じ、5ナンバー・サイズに収まるもの。ホイールベースは20mm短くなっている。ボディスタイルも先代の特徴を引き継いだもので、リトラクタブルライトを採用したファストバック・クーペという点では同じだが、そのボディラインはより曲線的なものとなった。プラットフォームはソアラと共通であり、サスペンションもソアラ同様に4輪ダブルウィッシュボーンである。
エンジンは4種類をラインナップ、いずれも直列6気筒。フラッグシップは3L DOHCインタークーラー付きターボの 7M-GTEUで、最高出力は230ps。2Lの最強版はDOHCツインターボの1G-GTEU、こちらは185ps。ほかにDOHC NAの1G-GEU(140ps)、SOHCの1G-EU(105㎰)が存在。デビュー当初はCMで「TOYOTA 3000GT」と謳った通り、トヨタではあの2000GTの再来といったイメージも持たせていた。
とは言え硬派なスポーツカーではなく、ソアラほどのスペシャリティ性は持たされていないものの、スープラは本質的にはゴージャスなGTカーである。逆L字型のダッシュボードには大型パノラミックデジタルメーターが組み込まれ、スポーツシートには本革仕様も用意されるなど、インテリアは豪華なものとなっていた。また、そうしたスープラの性格を反映するものとして、1986年6月にはエアロトップ(ルーフを着脱式にした所謂タルガトップ)が追加されている。
翌年1月には3Lターボに5速マニュアルを設定するとともに、ボディ横幅を拡大した3.0GTリミテッドを追加。これは北米向けのボディを国内にも導入したもので、寸法的には55mm幅広くなり、完全な3ナンバーボディとなっている。さらに1988年8月にはマイナーチェンジを実施。フロントグリルが2分割となり、テールレンズも横長のものに改められた。また、3Lモデルのボディはワイドボディのみに変更。エンジンも改良され、3Lターボは240psに、2Lツインターボは210psにそれぞれパワーアップ。
このマイナーチェンジの時に最も注目を集めたのが、3.0GTターボAという新たなモデルである。これはその名前が示す通り、グループAのホモロゲ取得のために生産されたもので、500台限定販売。エンジンには専用のタービンを装着、インタークーラーも大型化され出力は270psへと一気に向上、足周りも固められている。エクステリアはフロントの3連ダクト(ターボAダクト)と、黒づくめのボディ/ホイールカラーが特徴だった。
1989年8月に2Lツインターボのワイドボディ仕様を追加、3Lモデルにも廉価版の3.0GTターボSを設定したのち、その1年後には再びマイナーチェンジを実施。トップモデルのエンジンを3Lターボから2.5Lツインターボの1JZ-GTE(280ps)へと変更、これにより3Lモデルは消滅している。スポーティグレードとして、2.5ツインターボR(レカロ製シートやビルシュタインのショック、トルセンLSDなどを装備)も設定。さらに翌年、安全装備などの一部変更を行った後、1993年にモデルチェンジに伴い生産を終了した。
現在入手の容易なプラモデルはワイドボディのみ
70スープラのプラモデルは、前編で触れた通りフジミとタミヤによる1/24キットが長らく存在しており、そこに近年ハセガワ製が加わっている。フジミのキットは実車デビュー当時にリリースされたもので、当初は前期型のナローボディ、のちに中・後期型のワイドボディへと改められた。エンジン付きのフルディテール版もあるが、ボディそのものは所謂板シャシーに合わせて設計されており、そのため少々平たく大きい印象の造形となっている。
タミヤのキットも実車デビューとほぼ同時にリリースされたもので、当然ながら前期型となるが、そのボディは北米仕様を再現しており、ナロータイプではない。国内仕様と北米仕様を選んで作れるよう2種類のダッシュボードがパーツ化されているのだが、ボディがワイドであるため、発売時点では国内仕様を選んで制作すると、存在しないモデルを再現することになってしまっていた。
ハセガワのスープラは2020年に新規金型で送り出されたもの。正確なプロポーションと緻密なディテールが売りで、レース仕様含めすでに多くのバリエーションを展開している。最初にリリースされたのは3.0GTリミテッドで、ここから分かる通りボディは中・後期型のワイドボディ、1種類しか存在しない。
前編で述べた通り、作例はタミヤ製キットをベースにナローボディへと改修したものだが、この工作についてはノーマルでナローボディを作りたいという人の参考にもなるだろう。また、ハセガワ製のキットをベースに同じ加工をしてナロー化を行う、ということも考えられるが、その場合にしても細部までの自作の手間を考えると、その流用や移植元としてタミヤ製スープラも必要となると思われる。
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