まさかのナロー化でアウトフォルム仕様を忠実再現!タミヤ製「70スープラ」を大胆改造!前編【モデルカーズ】

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2.0ツインターボをベースとしたデモカー

1980年代後半から1990年代前半にかけてのハイソカーブームの折、人気を集めたエアロパーツのひとつがアウトフォルムだ。これは当時アルミホイールで有名だったフォートラン社のエアロパーツ・ブランドであり、デザインはムーンクラフトに委託されていた。今回取り上げるのは、1987年の東京エキサイティングカーショーで発表された、70系スープラをベースとしたAF-270である。

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初代(北米では三代目)スープラには、1986年デビュー当時は1G系の2リッターと7MGTの3リッターがあったが、本作例では当時のアウトフォルムのデモカーに倣って、2.0GTツインターボとして制作している。以前に当サイトで紹介したソアラ・ベースのAF-220(下の関連記事を参照のこと)とともに制作したもので、キットは同じくタミヤ製を使用したが、スープラについて詳しい諸兄なら気づくはずである。タミヤのキットは輸出仕様をベースとしたワイドボディ、しかしここで作ろうとしている2.0GTツインターボは、5ナンバー規格のナローボディだということに。

フジミの前期型ならナローボディも存在するが、私感ながらフジミ製スープラは屋根が低すぎるきらいがあり、それを直すとなると困難を極める。ならば、タミヤをナロー化した方が手っ取り早いと考えた(なお、制作時点ではハセガワ製スープラは発売前、まだこの世に存在していなかった)。そう、今回の作例ではエアロ云々の前に、フェンダーのナロー化から始めなければならなかったのである。

まずボディをナロー化してからエアロを工作!
フロントはフレア部分に切り込みを入れ、空白を作った上で外から内へ押し込んでいる。これにより、サイドモールもそのまま生かすことが出来た。反対に、リアは単純に外側から削り込んで幅を狭めている。この加工方法ではサイドモールも削れて消えてしまうので、ドアのモールドから複製したものを挿し込んだ。これにより、ボディに元々モールドされているUSマーカーもなくせて一石二鳥であった。

ボディをナロー化できたところでアウトフォルムのエアロを作っていく。こちらもソアラ同様に滑らかな面と、端部に行くに従い消えていくプレスラインの再現に、細心の注意を払って作業。フロントマスクは、ウィンカーとグリルが入る空間にブラックスモークのカウリングが装着され、バンパーからボンネットへスムースに面を繋げている。こうした大型のクリアー部品は透明感を大切にしたいので、初めにプラ板等で原型を作り、それを型取りしクリアーUVレジンで複製している。よく見るとスモークの中にオレンジのウィンカーが透けているのが分かるだろうか?

サイドで面白いのは、ドア前方のサメエラ風のモチーフ。これはドア開閉時にドアパネル先端がフェンダーのフチと干渉するのを避けるための“逃げ”を設けた上で、それを反復させてアクセントにしたという。ホイールはこちらもアウトフォルム735、実車ではクロームメッキ仕様なのでメッキ調に塗装した。内装もこのデモカーの大きな魅力のひとつと言える。朱色のレザーとグレーのファブリックという明るいカラーコーディネイトは、ホワイトメーターと相まって下品でない華やかさがあり、今見ても魅力的だ。

実はこのスープラとソアラの完成後に、当時実際にこのエアロをデザインしていたデザイナー氏に見て頂くことが出来た。今もデザイン会社を経営され、数々の有名なボディキットを生み出している氏であるが、1/24で再現したアウトフォルムに大変喜んで頂き、30年前の仕事ながら未だ鮮明に覚えておられる当時の開発話を聞かせて頂いた。その時間は、2台のアウトフォルムを制作した締め括りとして、大変良い思い出となった。昨今の新型車と比べ、元のデザインがシンプルだった当時の国産車を、更にハイレベルにブラッシュアップしたアウトフォルムは、30年以上経った今でも格別の存在感を放っていると感じる。

作例制作・文章=飯塚健一/フォト=服部佳洋 modelcars vol.296より再構成のうえ転載

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