ベース車の上品さを活かした高品質な1台
日本の自動車文化の成熟に伴って、1980年代には、アフターマーケット市場も大きく成長してきた。1983年から開催された東京エキサイティングカーショーは、東京オートサロンと名前を変えて現在も続いており、その会場には、様々なエアロパーツやアルミホイールを纏った、流行のクルマ達が集う。
【画像75枚】流麗に仕上がったアウトフォルム仕様ソアラとその制作過程を見る!
1980年代後半から1990年代前半にかけてのハイソカーブームの折、人気を集めたエアロパーツのひとつがアウトフォルムだ。これは当時アルミホイールで有名だったフォートラン社のエアロパーツ・ブランドであり、デザインはムーンクラフトに委託されていた。ここで取り上げているのは、1987年の東京エキサイティングカーショーで発表された、2代目ソアラ・ベースのアウトフォルムによるコンプリートカー、AF220である。
1986年にデビューした2代目ソアラ(Z20型系)は、先代(初代)のイメージを引き継ぎながらもカドのとれた優美なデザインに、1G系の2Lエンジンと7MGの3Lターボ・エンジンを用意し、爆発的な人気を博したモデルだ。このクルマは当然の如くドレスアップパーツに恵まれた1台だった。当時はブリヂストン系のオートピスタと人気を二分したアウトフォルムだが、下半身のボリュームを意図的に増したオートピスタと比べると、ベース車の装飾過多なフロント周りと、オーソドックスすぎて印象の薄いサイドを、独自のエアロパーツでバランスよくまとめ上げている。そのデザインは、ソアラのステイタス性をもアップさせてくれているようであった。
気になるエアロを滑らかに造形!ノーマル制作に役立つポイントも
さて、ここでお見せしているのは、このアウトフォルムAF220を、1/24スケールで再現した作品である。2代目ソアラはフジミからもキットが発売されているが、作例は、全体的なバランスの良い(屋根の絞りがキツい感もあるが)タミヤ製をベースにチョイス。エアロパーツは基本的にエポキシパテの盛り・削りで再現した。トータルでのパッケージが美しいこのエアロキットは、全体のバランスが大切だ。どこか一部分だけを仕上げて他に移るのではなく、全体的に同じ進度で、並行して解像度を上げていくような作り方が効果的であろう。
作者曰く、その中でも最も苦労したのは、前後バンパーやサイドステップに走るプレスライン(実際はプレスではないが)とのこと。このラインはバンパー前後やサイドステップのセンター部では比較的ハッキリと折れ目が見えるのだが、それが各ホイールアーチに向けてスーッと徐々に消えていくのである。この造形は、目の細かい紙やすりのひと擦りだけでもその表情が変わってしまうので、繊細な作業が必要であったという。実物は木型を起こして風洞実験まで行った本格的なエアロパーツなので、模型でもそんな開発背景に想いを馳せて、丁寧に面を整えたということだ。
タミヤのソアラ自体の制作ポイントとしては、フロントウィンカーの横幅が少し短いようなので、作例ではバンパーモール再現時に1mmほど内側に長くしている。また、ヘッドライトの収まりが悪いのも手を焼くところであろう。二重構造になっている内側のレンズ部品が大きすぎるようで、適宜削り込み、キットのリフレクターモールドの内側にきっちり収まるようにしておくと、外側のレンズもきれいに収まる。テールレンズも一部が暗い色調になっているので、説明書には指示がないが、スモークで色づけておくと雰囲気がぐっと高まる。これらは、ノーマルのソアラを作る場合にも参考になるだろう。