1980年代日本最大のヒット車!?陸サーファーでおなじみ「FFファミリア」をニチモ製プラモでモデリング!【モデルカーズ】

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機能と外観が高い次元で融合した傑作

マツダの小型大衆車ファミリアは1980年6月にフルモデルチェンジを実施、5代目・BD型系となった。なお、「5代目」となるのは、2代目の拡幅版(1973~1977年)を「3代目」としてカウントした場合である。これをあくまで2代目後期型とすると、「4代目」ということになる。

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それはともかく、マツダ(当時の社名は東洋工業)はこのころ何度目かの経営危機に瀕していたが、このファミリアは大ヒットを記録し、これによってマツダは大いに救われたとも言われている。BD型ファミリアは、世界的な趨勢に乗って初めてFFレイアウトを採用。またボディスタイルもクリーンな直線基調となり、このふたつの要素が醸し出す欧州車的な雰囲気が若い人たちを魅了し、ヒットに繋がったものであろう。

エンジンは、直列4気筒OHCの1.5L(最高出力85ps)と、1.3L(74ps)の2種類。これをフロントに横置きに搭載し、ミッションを同列に配置するジアコーザ方式のレイアウトを取り入れている。サスペンションは前後ともストラットだが、リアは「SSサスペンション」と呼ばれる独特の機構を持っていた。これは、2本のロアアームをトレーリングアームと組み合わせることで、トーコントロールを行うものであった。

スタイリングは、特に当時のフォルクスワーゲン・ゴルフを意識したのであろう、直線基調のシンプルなもの。と言って、ゴルフにそのまま似ているわけでもないのが巧みなところであった(実際のところは、むしろクライスラー・サンビームなどによく似ている)。ボディは当初3ドアと5ドアのハッチバックのみだったが、1980年9月には4ドア・セダンを追加している。このセダンは、フロントマスクを逆スラントにすることでハッチバックと差別化が図られていたが、これが思いのほか不評であったらしく、のちのマイチェンではハッチバックと同じ顔に改められた。

インテリアは利便性や快適性についてしっかりと考えられたもので、後席は左右内張りとの連続性を持たせた「ラウンジソファーシート」を採用。また、前席シートバックはフルフラットまで倒すことができ、後席シートバックは左右二分割で前方へ折り畳め、角度調整もできるなど便利なものであった。このように、機能性とお洒落さを併せ持ったFFファミリアが人気車種となったのは当然のことであろう(特に人気なのは赤だった)。まずサーファーの愛車というイメージが付き、そのイメージに乗って女子受けを狙うため、サーファーでもないのにファミリアのルーフにサーフボードを固定した、“陸(おか)サーファー”などと呼ばれる人たちまで出てきたのであった。

批評家の受けもよく、第一回の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したほか、海外でも高い評価を獲得したファミリアは、1983年にマイナーチェンジを実施。前述のようにセダンの顔が大きく変わった。また同年6月には、3ドアと4ドアにターボエンジン搭載車を追加。これは1.5L OHCにターボを装着したもので、最高出力は115ps。搭載車のうち「XG-R」は大型バケットシートを装備、ボーイズレーサーの代表格となったのである。こうして好評のうちにファミリアは4年半のモデルライフを終え、1985年1月にモデルチェンジ、BF型系へと進化したのであった。

最もプロポーションの良いニチモ製キットから、かつての愛車を再現!
このように、非常な人気モデルであった5代目ファミリアのプラモデル化は多く、1/24スケールでは、現在も入手容易なイマイ(現在は金型を引き継いだアオシマから発売)のほか、ニチモ、オオタキ、日東、フジミの各社製キットが存在する。特に日東とフジミは、実車同様にFF機構でモーター走行が可能という意欲作であった。ここでお見せしているのはニチモをベースに、実車の姿を極力再現するべく、ボディ形状に大きく手を加えた作品である。以下、作者である棚瀬氏に語ってもらおう。

「それらのキットの中から今回なぜニチモを選んだのかと言うと、当時の模型誌に掲載された各社キットの完成品を見て、その中で一番実車に似ていると感じたからである。本来なら(?)、この作例はボディ色レッドで制作されるべきと思われるが、なぜかよく分からない紺色であるのは、実は私が学生時代に初めて所有したクルマを再現したものだからである。当然ながら中古で購入し、新車当時の人気のことなどよく知らず、値段とサイズで決めただけだ。

しかし運転してみると、トルクのあるエンジン、軽快なハンドリング、良好な居住性等々、とても良いクルマだと感じた記憶は今も残っている(居眠り運転で長良川の堤防道路から落ち、自力で復活した記憶も……)。そんなお気に入りのクルマゆえ、模型で自分の愛車を再現したいと、25年以上前にこのキットを探し回り、その結果、横浜ワンダーランド・マーケットで入手した。「絶版キットを探し回る」という、モデラーならではのイベントを初めて体験させてくれたクルマでもあるのだ。

このキットの制作にあたり心掛けたことは、当時のキットのボディ形状には走行機能優先のため実車と異なってしまっている部分があるのだが、それをなるべく実車に近づける、ということである。単三乾電池をエンジンルームに縦に収めるため、実車よりノーズが長くなっており、ボンネットが横から見ると緩く弧を描く形状となっていたので、これらが解消できるように修正した。また、同じ理由から足周りが実車よりスポーティ(太いタイヤで幅広トレッド)だったので、よりノーマルに近いアオシマ(旧イマイ)のパーツを使用し、幅を詰めた位置で固定した。

今回作例として制作してみて改めて、決定版のキットが欲しいと思った。前期・後期で大きな形状変更もなし、国内/海外仕様(マツダ323やフォード・レーザー)とバリエーション展開もできますし、何処かのメーカーで出してくれないもんですかねぇ」

作例制作・文章(後半)=棚瀬和重/フォト=服部佳洋 modelcars vol.293より再構成のうえ転載

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2022/10/04 17:40

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