FFとFRの2種類のプラットフォームを用意する2シリーズ。前者はユーティリティ重視の5ドアセダンやミニバン、後者は02(マルニ)の伝統を引き継ぐ2ドアクーペに採用される。その後者にはトップモデルとして2015年以来、BMW M社が送り出すM2クーペが君臨。今回、その次期プロトタイプに試乗する機会を得た。
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戦闘力の高さに洗練度をプラス、確実に向上した操縦安定性
昨年、ベースモデルの2シリーズクーペが全面刷新、G42へと進化したのを受け、巷ではニューM2への期待が日に日に高まってきた。そこで同社は次期モデルのティザーを早々にスタート、プレス陣をオーストリアのザルツブルクリンク・サーキットへ招き、開発の最終段階にあるプロトタイプに試乗する機会を与えてくれた。
ピットロードに現れた次期M2プロトは、フルカムフラージュによりディテールは判別できないが、現行モデルに対して明らかにロングノーズ・キャビンバックワードのFRプロポーションを持つ。
エンジンは現行モデルと同じ3L直6ツインターボだが、型式は現行のS55からM3/M4に搭載されるS58へとアップグレード。ピークパワーは少なくとも450psを発揮するといわれる。トランスミッションは6速MTが標準、オプションで専用チューンの8速AT(Mステップトロニック)が用意されるという。
車内も一部は黒い布で覆われていたが、現行BMWと同じカーブドワイドスクリーンが採用されているのは確認できる。表示メニューはM2専用で、Mモードを介してセットするドライブメニューはロード、スポーツ、トラックの3種。このほか、自身の好みに設定可能なインディビデュアルも用意される。早速、カーボン製スポーツシートに身を委ねてコースイン。
最初の試乗車は6速MT仕様で、インストラクターの先導による慣熟走行とはいえ、いきなりのハイペースだ。その後、無線からスポーツ走行への指示が流れると同時に、スロットルペダルを深く踏み込む。最初のS字コーナーは実はRがかなりタイトで、急制動からギアを2速まで落として再びスロットルを踏み込んだのだが、ちょっとラインが乱れる。しかし、車両の挙動はきわめてコントローラブルで、ステアリングを戻してすぐさま再加速が可能だった。こうした場面だと、即座に後輪がムズムズする現行M2なら修正は難しかったかも知れない。そう、次期M2のアドバンテージは、明らかに操縦安定性の向上にある。最終コーナーからストレートに入ると、容易く265km/hまで達したこともお伝えしておこう。
3ラップを終えて、8速AT仕様に乗り換える。実は現行M2のDCTからコンベンショナルなトルコン式ATへの変更については期待薄だったのだが、いざ乗ってみたら目からウロコ。さすがにM社がZF社と共同開発しただけのことはあり、Dレンジ(Sモード)のままでも速度に合わせて適正なギアを見つけ出してくれる。シフトチェンジ時に自動的に回転合わせをする、やや不自然な6速MTよりも好印象を受けたほどだ。
今回の試乗は、ごく短時間のスポーツ走行のみだったが、前述の通り次期M2はシャシー系、特にスタビリティが確実に向上しているのが実感できた。今後の予定は、2022年中にもBMWのメキシコ工場で生産がスタート、2023年4月に世界同時発売となる見込みだ。
いまMが持てるハイテクのすべてを投入したハイパフォーマンスSUVプロト「XM」にも試乗
伝説のミッドシップスポーツ、M1以来となるM社独自開発のモデルとなるXMのプロトタイプを、今回特別にザルツブルクリンク周辺で試すことができた。まず印象的だったのは、全長5.16m、全幅2m、自重2.7トンもの巨体を易々と走らせるパワーPHEVの存在感だ。エンジンは48Vマイルドハイブリッド装着の4.4L V8ツインターボで、650psと800Nmを発生。8速ATとエンジンの間に150kWの電気モーターを挟み込み四輪を駆動させるが、そのハイパフォーマンスぶりはランボルギーニ・ウルスに匹敵するほど。それでいて巧みなシャシーコントロールによって挙動は終始安定しているのだから舌を巻く。2023年3月からのデリバリー開始に期待したい。
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