「ハコスカGT-R」という愛称で世界的人気をほこり、現在その中古価格が高騰している初代スカイラインGT-R。1968年の東京モーターショーで出品された「スカイラインGTレーシング仕様」を、1969年2月にほぼそのままの形で発売したのが初代GT-R「PGC10型」。ボディ形状は4ドアセダンでその生産台数は832台であった。同年5月1日にJAFグランプリにてレースデビューを果たし、初戦からTS部門1位で勝利、連戦連勝完全制覇を重ねハコスカGT-Rの不動の地位を確立した。ちなみに、このPGC10型の発売から約1年後の1970年10月に2ドアハードトップの「KPG10型」が登場するが、その生産台数は1197台とこちらも希少価値は極めて高い。
ここで紹介するのは、PGC10型ハコスカ4ドアGT-Rのアオシマ製プラモデル「ザ・モデルカー No.45」をベースに制作された1/24モデル。もともとこのキットは、昭和50年代に開発された金型を使用している為、そのまま組み立てると現代の最新キットとは考証や再現度などが異なり、これをいかにリアルに改造していくのかが制作のポイントとなっていく。ここでは、大改造の上作り上げた風格ある元祖ハコスカGT-Rを、実際に制作したビルダーであるKen-1氏に語っていただこう。
ベースはアオシマ、ノーズはフジミ、リアをタミヤの大改造!?
今回は4ドアR、PGC10の決定版を目指してみました。今度はかなりハードさが増して、幅を詰めたアオシマボディを中心に、ノーズをフジミ、後端をタミヤに入れ替え、更にフロントオーバーハングの延長、ルーフとピラーの形状変更、フロントマスクの修正とライトの作り直しに、リアガーニッシュも改修、更にシャシーはタミヤをベースにホイールベースを延長、内装も作り直し。いざやってみると、修正していない箇所がどこにもないという、もうパーツ取りを含めたら何個イチやねん!? といった、フランケンシュタインの怪物もびっくりな大改造となりました。今回実感したのは金属ヤスリの重要性。微妙な形状出しの際、やはり金属素材からくるダイレクト感、タッチは、大きな表現力に繋がります。形状やヤスリ目もそれぞれ状況に合わせて用意できれば、より作業の助けとなるでしょう。僕の場合、大きめの金ヤスリでガッと削ったのち、微調整にアルゴファイル社のDTファイル各種とバローベの半丸ヤスリを組み合わせて使うことで、大幅に作業効率が上がりました。ただ、やはり金属ヤスリは表面の荒れも伴います。その跡を残さない下地処理が重要になりますので、そこは充分注意してください。
ボディカラーはクレオスのレーシングホワイトとガイアのピュアホワイトを1:1の割合で調色。過剰に古すぎず新しすぎず、というラインを狙っています。コンパウンドについては、今回から新しくフィニッシャーズ製のものを試してみたのですが、各コンパウンドの受け持つレンジが広く、気になるモールドへの噛み込みも穏やかで、こちらも作業効率の良さにつながり好印象。今回はそこまで艶を狙ったわけではなかったのですが、思った以上にピカピカになってくれたのは想定外でした(笑)。
この手の改造は手を加えた箇所ももちろんですが、そのすり合わせと作業の跡を完全に消し去る処理、出来上がりのバランス取りが実は一番大変で、そういった部分は文章や画像からはうまく伝わらないのが辛いところ。しかし逆に、達成した制作者だけが得られる喜びでもあったりもするのですが、とはいえ、今回はいろいろな事情からバランス面等で詰めきれていない部分も多く、今後の課題を色々と教えられた制作でもありました。終わってひと息つくと、その詰めきれなかった部分が段々見えてきて悔しさに襲われるんですよね。しかし、自分としてはひとつの到達点と言える作品であるのも確かで、そのあたり皆さんの目にはどのように映るでしょうか? (Ken-1)
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