技術力の高さから、いまや高性能ホイールの代名詞的存在となっているBBS。今回はレクサスのFモデルの開発責任者としてブランド戦略のベースを作り上げた矢口幸彦氏にインタビュー。BBSホイールについて語ってもらった。
BBSを訪れ鍛造製法の素晴らしさを知った
世界一の静粛性を目指し、一躍その名を“響かせた”初代セルシオ(北米名レクサスLS400)。そのチーフエンジニアとしてレクサスとの関わりをスタートし、後に「IS F」から始まったFモデルの開発責任者としてレクサス・ブランド戦略の基盤を作り上げた人物、矢口幸彦さんは、今年の4月にトヨタ自動車を退社し、そのキャリアを活かして第二の人生を歩んでいる。現在は「office F.REGULUS」を開設し、その知識と経験を、各所へ提供しているという。そんな矢口さんにBBSホイールについて語ってもらった。
「仕事としてBBS鍛造ホイールと関わったのは、IS Fでホイールを採用してからです。ただそれ以前、1999年に自分の興味として、一度BBSさんを訪れていたんですね。そのとき鍛造製法の素晴らしさを知って、その印象が頭の中に強く残っていたものですから、IS Fでお声がけをしたんです。
そのときのことは、今でも語りぐさになっています(笑)。というのも我々は、鍛造ホイールとして考えると、かなり複雑な意匠をBBSにお願いしたんです。もちろんBBSにはY字スポークの伝統的なデザインがあったのですが、私たちはレクサス独自の意匠にしたかった。そこで自社のデザイナーを製造現場まで行かせて、その製法を理解しながら細部を煮詰めました。最後まで職人さんと相談しながら、磨き込みまで一緒に行って出来上がったのが、IS Fのホイールだったんです」
こうしてレクサスはBBSの技術力の高さを知り、BBSは新しい挑戦への扉を開き、お互いの認識を深め合った。
「そうしたやりとりからBBSとの信頼関係が生まれました」
こうしてBBSのエンジニアたちと深く関わることで、矢口さんは何を感じ取ったのか。
「それは彼らの思い入れの強さと、モチベーションの高さですね。素材の研究から始まって、作り方まで、常にこだわっている。特に鍛造比4以上(元の素材から1/4以上の高さまで圧縮していること)なのですが、この技術は、すごいです。そこで得られる強さと、加工に対する自由度の高さ。このふたつが際立っているから、鍛造なのに美しいデザインのホイールが作れるんです」
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