【海外試乗】ポルシェ初のBEV SUV。名前は同じでも中身は完全BEV!「ポルシェ・マカン」

初代のデビューは2013年こと、およそ11年を経て2代目へとフルモデルチェンジを果たしたポルシェ・マカン。4月下旬、フランス・アンティーブで行なわれた国際試乗会でBEV専用モデルとなった新型に試乗した。

アウディと共作の新骨格PPEを採用する第一弾

マカンといえば、ポルシェのベストセラーモデルのひとつである。2023年の世界販売台数でもカイエンの8万7553台につぐ、8万7355台のセールスを記録。モデル末期だからといってセールスは落ち込んでいるわけではなく逆に伸びているくらいだ。これほどの売れっ子をBEV1本にスイッチするというのだから、ポルシェの2030年に新車販売の8割をBEVにするという戦略の本気度がうかがい知れる。

ホイールベースは2979mmと先代モデルより86mm延伸。そしてCd値は0.25とクーペさながら。左右のリアフェンダー後部にあるスリットがターボモデルの特徴のひとつ。

アンティーブのヨットハーバーにずらりと並んだマカンは実にカラフル。カタログでは標準色を13種類、スペシャルカラーは59種類を用意する。アウディと共同開発したBEV専用のPPE(プレミアムプラットフォームエレクトリック)を使った第1作目であることを祝うかのような華やかさだった。今回の試乗車は日本でも発表済みのマカン4とマカンターボの2種類。まずはエクステリアでの差異を見極めるとする。わかりやすいのはエンブレムだ。ターボモデルには、メタリックグレーの“ターボナイト”が備わる。フロントバンパーでは、ヘッドライト下の横桟がターボはボディ同色に、マカン4はブラックアウトされる。ちなみにヘッドライトは、2つのパーツで構成されており、バンパーの中央の位置にある四角いものがメインユニット。特徴的な4本ラインのLEDライトは、デイタイムランニングライトの機能のみという。

DC充電出力は最大270kWに対応。400Vの充電ステーションでは、800Vのバッテリーを定格電圧400Vの2つに分割するバンク充電が可能。

ボディサイズは先代に比べて全長+58mm、全幅+16mm、ホイールベースは+86mm拡大。全高はほぼ同じ。要はさらにクーペルックに磨きがかかっている。
インテリアはタイカンにはじまった最新のデザイントレンドに準じたもの。BEVではスタート/ストップボタンを省略したモデルが増えつつあるが、ポルシェらしくかつてキーシンダーがあった場所にボタンが配置されている。またエアコンの操作やオーディオのボリューム調整などにも、アナログのスイッチを残されている。

「electric」のバッジは有無が選べる。

パワートレインは、800Vアーキテクチャーを備えたPPEに総容量100kWhのリチウムイオンバッテリーを敷き詰め、そして前後アクスルに配置した永久励磁型PSM電気モーターで4輪を駆動する。最高出力はマカン4が387psでターボは584ps、最大トルクは650Nmに対して1130Nmと明確に差がつけられている。

タイカンにはじまった最新のトレンドを汲んだもの。12.6インチの自立型メーターと10.9インチのセンターディスプレイ、オプションで10.9インチ助手席用ディスプレイを用意。

まずはマカン4に乗った。動き出しはスムースで申し分ない。足回りにはオプションの22インチタイヤ+エアサスを組み合わせており、路面の荒れた市街地では少しあたりが硬いかなと感じる場面もあったが、ポルシェらしさは十分に感じられた。しかし、翌日、ターボに乗って驚いた。アクセルペダルに対する反応がよく意のままに動く。足もマカン4よりしなやかに感じられる。まるでモンテカルロ・ラリーのコースのような山岳路での試乗だったが、重さを感じさせず軽快に走る。

前後シートともに先代モデルより着座位置が低くなっており、ヘッドクリアランスを確保している。

のちに確認したところ、マカン4とターボでは、モーターの大きさだけでなく、取り付け位置なども含めてリアアクスルまわりがまったくの別物という。前後重量配分は、マカン4では50:50のところ、ターボでは48:52とより後輪のトラクション重視になっている。開発陣におすすめグレードを聞くと皆が口を揃えて“ターボ” と答えたことに合点がいった。

当初は先代のICEと新型のBEVを併売するとアナウンスされていたが、欧州域内ではサイバーセキュリティ法が施行されたため販売は新型1本に絞られている。
一方、日本ではしばらくは併売されそうだ。自宅に充電器があればBEVを選ぶと思うけれど、それでも11年経っても色褪せないICEマカンも魅力的だよねと逡巡してしまう自分もいる。いまマカンをご検討の方、決断のときです。

通常540Lで、背もたれを倒すと最大1348Lに拡大。

ボンネットの下には“フランク”と呼ばれる容量84Lのセカンドラゲッジコンパートメントがある。

【SPECIFICATION】ポルシェ マカン4
■全長×全幅×全高=4784×1938×1622mm
■ホイールベース=2893mm
■トレッド=前:1687、後:1661mm
■車両重量=2330kg
■モーター形式/種類=─/交流同期電動機
■モーター最高出力=前:387ps(285kW)、後:─
■モーター最大トルク=前:650Nm(66.3kg-m)、後:─
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■バッテリー容量=100kWh
■一充電航続可能距離(WLTC)516-613km
■サスペンション形式=前後:5リンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:235/55R20、後:285/45R20

【SPECIFICATION】ポルシェ マカンターボ
■全長×全幅×全高=4784×1938×1621mm
■ホイールベース=2893mm
■トレッド=前:1687、後:1661mm
■車両重量=2405kg
■モーター形式/種類=─/交流同期電動機
■モーター最高出力=前:584ps(430kW)、後:─
■モーター最大トルク=前:1130Nm(115.2kg-m)、後:─
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■バッテリー容量=100kWh
■一充電航続可能距離(WLTC)=518-591km
■サスペンション形式=前後:5リンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:235/55R20、後:285/45R20

問い合わせ先=ポルシェジャパン TEL0120-846-911

フォト=ポルシェAG ルボラン2024年7月号より転載

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