センス良いドレスアップのお手本にも
歴代スカイラインの中でも、DOHCエンジンの復活で人気を呼んだR30型系は、今も高い人気を誇る。その人気の盛り上がりに一役買ったのが、TVドラマ『西部警察』シリーズの劇中車であることは、当時を知る人には今更語る必要もないだろう。
【画像39枚】究極のRS-1はこうして作られた…その工程を見る!
1979年から1984年まで、5年に渡って放送された『西部警察』シリーズだが、通常の覆面パトカー(作中では「黒パト」と呼ばれた)にはない特殊装備を満載した、所謂スーパーマシンとして初めて導入されたのは、R30ではなく先代・ジャパンのターボをベースとしたマシンXであった。マシンXは『西部警察』第45話で登場、『西部警察PART-Ⅱ』第14話まで活躍している。
スカイラインRSをベースとした車両として初めて導入されたのは、続く『西部警察PART-Ⅱ』第15話「ニューフェイス!!西部機動軍団」(1982年9月26日放送)で登場したマシンRSである。この時点ではRSにはまだターボモデルはなく、このマシンRSもNAの2ドアRSをベースにした車両であった。それまでのマシンXは、主人公である大門団長の専用車だったが、その任はスーパーZ(同時に登場したS130フェアレディZベースのスーパーマシン)が引き継ぐこととなり、そのためマシンRSは、もっぱら沖田刑事など他の刑事が乗ることが多かった。
RSにターボを装着した2000ターボRSが発売されたのは1983年2月のことだが、ここからほぼ半年後に、スーパーマシンのスカイラインもターボへと刷新されることとなる。『西部警察PART-Ⅲ』第16話「大門軍団フォーメーション」(1983年8月21日放送)から、ターボRSをベースとしたマシンRS-1とマシンRS-2が登場したのである。もう1台、マシンRS-3があり、この3台で「RS軍団」を形成するのだが、このRS-3というのは、それまでのマシンRSをリニューアルしたものだ。
この新たな3台の特徴は、それまでのマシンRSと比べてエアロパーツが増量されていることである。マシンRSでもフロントとリアのスポイラーなどは装着されていたが、マシンRS-1/2/3いずれにも、エンジンフード端に取り付けるフィン(エアスプリット)やリアピラー部のフィン(ストリームスプリット)などが装着され、RS-3のフロントスポイラーも新たな2台と同じ形のものに更新されていた。このほかRS-1とRS-2では、フェンダープロテクターも装備される。
3台それぞれの装備や違いについて説明しているとキリがないので、詳細については本題のRS-1のみについて述べよう。RS-1は、RS軍団の中でも追跡や攻撃の司令塔的存在として設定されており、外観の特徴は、ルーフ上に装着された赤色/青色の回転灯と、エンジンフード中央の大型エアアウトレットである(回転灯はRS-3にも同じものを装備)。ルーフには格納式の二連装機銃を装備しているのもポイントだ。室内では、助手席スペースを潰して大型コンピューターが設置されており、シートはドライバー用のみとし、後席スペースには金属の縞板が敷かれていた。
こうして登場したマシンRS-1以下RS軍団は、1年少々後の最終回まで活躍、番組を大いに盛り上げた。それだけにとどまらずカーマニアへの影響も絶大で、FET極東製のエアロパーツや純正エアロ(ストリームスプリットやルーフシェイドなど一部)、エンケイのメッシュホイール、さらにナルディのステアリングホイールやコルビューのバケットシートを装着したその姿は、R30型スカイラインにおけるドレスアップのお手本にまでなったのである。
ネットの画像やファン向け書籍を資料にディテールアップ!
さて、スカイライン2000ターボRSの実車と、それをベースとしたマシンRS-1のプラモデル作例については、前編の記事(下の「関連記事」参照のこと)でも説明した通りだ。ここからは、作者・小田島氏による解説をお読みいただこう。
「私が『西部警察』をリアルタイムで見ていたのは幼稚園から小学校低学年にかけてでした。当時はプラモデルはまだ作れなくて、ダイヤペットのミニカーを買ってもらって遊んでいましたが、その他にも同スケールの330やY30セドリックも持っていて、それらで遊ぶ際には、必ず330はひっくり返して横転シーンを演じさせていました。その後、『西部警察』サファリのプラモデルを買ってもらったものの、デカールがうまく貼れず父親に貼ってもらった記憶があります。
そして時は流れ私にも息子が産まれ、その息子に『西部警察』のDVDを見せたところ、その直後からミニカーで遊ぶ際に全てのトミカがひっくり返されていて、その影響力に驚きました。いや、血は争えないということなのかもしれませんね。
さて、今回担当しましたマシンRS-1ですが、キットはテレビ放送当時の古い金型によるモデルですので、現在の目で見ると幾つか物足りない部分も見えてきます。そこで今回はできるだけ実車に近づけることを目標に、各部をディテールアップして制作しました。
実車が特殊なため資料の収集に難儀しましたが、純正部分はネット上の画像から、専用装備の部分は『西部警察LEGEND8 起動せよ!スーパーマシン』(青志社刊)を資料に、できる限り制作しました。まだ各部に実車と異なる部分があるかもしれませんが、今後模型での制作を考えている方の参考になれば幸いです」
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