「史上最強のスカイライン」がベースの人気劇中車
プリンスから日産の看板車種となったスカイラインは、1981年、5回目のフルモデルチェンジで六代目・R30型系へと進化した。このフルチェンジでは、4気筒モデルと6気筒モデルでボディが統一され、全長も共通となったのが最大のポイントだろう。
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またボディからは、それまでスカイラインを特徴づけてきたサーフィンラインが消えたのも新鮮であった。これについては、ボディ全体のウェッジシェイプがサーフィンラインであるとも言えるが、サイドモールが微かに先細りとなっており、デザイナーはここにサーフィンラインを潜ませたのだともいう。全体のプロポーションとしては、先代C210型系の直線基調のイメージを受け継ぎつつ、さらにリアデッキを高くしたのが特徴と言える。ボディ形式は4ドア・セダンと2ドア・ハードトップがあり、さらに新たな試みとして5ドア・ハッチバックも用意された。
搭載エンジンは、GT系は直列6気筒のL型、TI系は直列4気筒のZ型で先代と変わりないが、TIの1.6Lは廃止され、1.8Lと2Lの2種類になった。サスペンションは前ストラット/後セミトレで変わりなく、伝統のメカニズムとしていよいよ熟成を極めている。三代目以降、巧みな宣伝戦略が注目を集めてきたスカイラインだが、R30型ではCMキャラクターにあのポール・ニューマンを起用。これによりR30は「ニューマン・スカイライン」とも通称される。
前述の5ドアがあるためかバンは当初設定されなかったのだが、1981年10月には、新たにバンがエステートの名でラインナップに加わった。しかしこの時話題を呼んだのは、同時に設定されたスポーツグレードのRSである。RSは、1973年のスカイラインGT-R以来8年ぶりとなる、DOHCエンジンを搭載した硬派なモデルであった。このエンジンは、直列4気筒OHVのH20を下敷きにしつつ新開発された4気筒のFJ20で、1気筒あたり4バルブとなる16バルブを採用、1990ccの排気量から150psを発揮した。
RSはセダンとハードトップに設定されたが、GT-Rを名乗らなかったのは、4気筒エンジンであったためと言われる。ミッションは5速MTのみを設定。当時は、日産が先鞭をつけたターボがハイパワーエンジンの代名詞的存在であったが、スカイラインRSにも早速ターボが組み合わせられることとなる。1983年2月に追加された2000ターボRSがそれで、FJ20にターボチャージャーを組み合わせたFJ20ETは190psを発揮。やはりセダンとハードトップ双方にターボRSは設定された。さらに、マイナーチェンジ後の後期型では、このFJ20ETにインタークーラーを組み合わせたターボC(205ps)も追加されている。
今や入手の難しいエンジンパーツはシルビアのものを使用
このR30型系スカイラインは、当時のプラモデル界でも大いに人気で、各社から多数のキットが発売された。1/20スケールではバンダイとエルエス、1/24スケールではタミヤやアオシマ、フジミにニチモ、エルエス、日東、オオタキなど、1/32ではグンゼやアオシマと、非常に数が多い。中でもアオシマは、1/24スケールに限っても、前期型(GTとRS)と後期型(RS)の双方を、異なる金型で製品化。さらに、当時人気のTVドラマ『西部警察』仕様のキットをも、1/24と1/32の両スケールで送り出しているのである。
ここでお見せしているのは、この『西部警察』のシリーズから、マシンRS-1の1/24スケール・キットを制作した作品だ。キット自体はなかなか良質な内容を持つものであり、ベースとなるスカイラインのプロポーションから、劇中車ならではの特殊装備まで、力のこもった再現ぶりを見せる名作である。しかし、今の目で見るとあれこれを不満を感じる部分が少なくないのも事実。そこでこの作品では、そうした部分に手を加えるとともに、欲張りにもエンジン再現までを盛り込んでみた。
RS-1のボディは、実車のエアロパーツを一体でモールドしてあり、各エアロの別体感や形状に不満が残るので、そうした部分を逐一リフレッシュ。エンジンは、アオシマでは後期型RS(ターボC)のキットをエンジン付きで出していたので、これを流用すれば話は早いのだが、エンジンパーツ付きでの再販は久しく行われておらず、キットの入手が難しい。そこで作例では、同じエンジンを搭載したシルビアのキットからパーツを複製、これを組んで搭載している。こうした制作の詳細については、工程写真のキャプションや後編の記事(追って公開する)をご参照いただきたい。