国産高級車の歴史を変えた4ドア・ハードトップ
今はもう存在しない高級車、日産グロリア。かつては広告などで「グロリアの歴史は高級車の歴史」と誇らしげに謳ったものだが、それもある意味では誇張ではない。初代グロリアは国産車初の3ナンバー車だったのである。プリンス――後に日産に吸収される――が、初代グロリアをデビューさせたのは1959年のこと。既存車種スカイラインの1.5Lエンジンの代わりに1.9Lエンジンを載せた、派生車種としての誕生だったが、当時の小型車枠は1.5Lが上限。このグロリアは普通乗用車に分類される、ゴージャスな高級モデルだったのだ。
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1962年に二代目を登場させた後、1966年にプリンスは日産に吸収合併され、翌1967年にグロリアは三代目モデルへ。そして1971年2月、日産グロリアはフルモデルチェンジを行い、4代目・230型系となった。すでに先代・A30型系の時点でセドリックと一部設計の共用化を行い、以後のマイナーチェンジでも共通部分を増やしてはいたが、その基本設計はすでにプリンス時代に行われていたものだった。この230から、グロリアは根本的にセドリックと設計を共通化させ、完全な兄弟車となったのである。そしてこの230型でも、グロリアは――セドリックとともに――「国産車初」の歴史を重ねることになった。4ドア・ハードトップの登場である。
1972年に追加された新たなボディ形式4ドア・ハードトップは、2ドア・ハードトップをベースにドアを4枚としたもの。ボディの輪郭は2ドアと同じもので、2ドアのスポーティさと4ドアの利便性を両立させたのが売りであった。ハードトップとは、基本的にはBピラーを持たないもの。のちにライバルのトヨタ・クラウンが登場させた4ドア・ハードトップはBピラーがあり、ドアにサッシがないだけの”ピラード・ハードトップ”だったが、日産のそれはBピラーを省略したピラーレス・タイプで、サイドウィンドウをフルオープンにした際の解放感もセールスポイントだった。
4ドア・ハードトップは2ドア同様に角型ヘッドライトを採用していたが、フロントグリルそのもののデザインは4ドア・セダンのそれ(丸型4灯ライト)を踏襲。リアエンドは2ドアと同じく若干斜めに切り落とした形ながら、テールランプは2ドアより大型のものが装着され、ガーニッシュのデザインもより派手なものとなっていた。また、セドリックとの差別化という点では、フロント周り(ボンネットおよびグリル)がグロリア専用のものとなるのはセダンと同様だが、反面、リア周りのデザインは両車ほぼ同じであった。
230型系グロリア/セドリックは、車種自体の魅力とともに、ライバルであるクラウンの不調(当時のS60/70型系の特徴的なスタイルはユーザーに受け入れられなかった)もあって販売は好調であったが、この4ドア・ハードトップの追加によってさらに商品力をアップ。結果として、230型系グロリア/セドリックはセールス面でクラウンに勝利を収めた稀有な例となったのである。
ボディサイドの違和感解消など形状修正も盛り込む
230型のプラモデル化は多くなく、きちんとしたスケールモデルはエーダイグリップのグロリア/セドリックと、ヤマダのセドリックのみ。いずれもスケールは1/24を謳っているが若干小さく、エーダイはおよそ1/27、ヤマダはホイールベースから換算すると1/25(全長ではさらに小さめ)となる。このヤマダのキットは、同社廃業後は童友社に金型が引き継がれており、近頃も久しぶりに再販が行われ話題を呼んだが、現在(2022年10月)も入手可能のようだ。ここでお目にかけているのは、この童友社製セドリックをベースに、グロリアの4ドア・ハードトップへと改造した作品である。
ボディのアウトラインはハードトップの場合、2ドアと4ドアで共通なので、手軽にボディの改造を行おうと思えばドアラインの変更だけで済むのだが、作例ではスケールを正確な1/24へと拡大。また、元キットのボディはプロポーションは比較的悪くないのだが、ボディサイドが丸く膨らみ、一方ショルダーはなで肩という特徴があるので、これらについても併せて改修を行った。詳しくは、工程の写真に添えたキャプションをお読み頂きたい。なお、作例の制作にあたっては、ガレージキットメーカーSMP24にデカール自作の協力を頂いている。
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