これがグランツーリスモの源流!?「230型グロリア」の貴重な絶版プラモをリアウィング付きで制作!【モデルカーズ】

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セドリックと完全な兄弟車に

1971年2月、日産グロリアはフルモデルチェンジを行い、4代目・230型系となった。プリンスにルーツを持つグロリアは、すでに3代目・A30型系の時点でセドリックと一部設計の共用化を行い、以後のマイナーチェンジでも共通部分を増やしてはいたが、その基本設計はすでにプリンス時代に行われていたものだった。この230から、グロリアは完全にセドリックと設計を共通化させ、完全な兄弟車となったのである。

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230型グロリアのラインナップは、4ドア・セダンと2ドア・ハードトップ、それにバンという3タイプであった。そのボディラインは、控えめながらもコークボトルラインを取り入れつつ、過度な自己主張のないオーソドックスなもので、同時期のライバル、トヨタ・クラウンとは対照的なものである。クラウンの”スピンドル・シェイプ”は、二段式グリルやカラードバンパーなど当時としては風変りなもので、保守的なユーザー層には受け入れられず、そのためもあって230型グロリア/セドリックは販売台数でクラウンを上回ることに成功したと言われている。

グロリアは、ボンネットを独自の形状とすることでセドリックと差別化、中央を盛り上げたこの形は”コンチネンタル・フード”と称された。初期のみであるが、フードマスコットを装着していたのも特徴である。セダンのトランクフードは一見セドリックと別形状のようだが、これはメッキモールのあしらいでそのように見せていただけであった。それ以外は、フロントグリルやリアガーニッシュおよびテールランプのデザインに違いが見られる。

ボディサイズは全長4690mm、全幅1690mm、ホイールベースは2690mmと、先代セドリックと全く同寸だが、キャビンが若干後退してロングノーズのプロポーションとなっている。サスペンションは前ダブルウィッシュボーン/後ろリーフリジッドで、これも先代から変わらず。搭載エンジンはほぼ全モデルが2L直6 OHCのL20で、最廉価モデルのスタンダードのみは2L直4 OHVのH20。トップモデルのGXのみツインキャブ仕様のL20を搭載しており、最高出力はシングルキャブの115psに対して125psであった。

発売8ヶ月後には2.6Lモデルを追加。上級モデルだけでなくバンについても同様であったので、現在の目で見ると若干奇異な印象であるが、これはこの頃、5ナンバーの上限が排気量2.6Lに引き上げられる計画があったためと言われている。翌年にはマイナーチェンジを行い、前後のデザインなどを変更。5年に及んだ230型系のモデルライフで、前後グリルの変更はこの1回のみである。

同年にはさらに、新たなボディ形式の4ドア・ハードトップを追加。これは国産車初となるもので、Bピラーを廃した解放感が売りであった。ボディの輪郭は2ドアと共通だが、リアエンドのデザインは専用のものとなり、さらに華やかさを増している。こうして完全にクラウンより優位に立った230型系グロリア/セドリックは、1975年のモデルチェンジまでを駆け抜けたのであった。

レザートップはティッシュで再現! ウィングはプラ板で自作!
230型の人気は当時からミニカーなどでもなかなか高く、その製品化は多いが、プラモデルはあまり多くない。よく知られているのは、ヤマダによる約1/25スケールのセドリック(2ドア)であろう。これは金型を童友社が引き取り、最近も再販が行われたばかりだ。これが唯一かと思えばさにあらず、もうひとつキット化があった。それがここで採り上げているエーダイグリップのものである。

このキットは、ヤマダ/童友社とは違い、セドリックとグロリアの2種類が存在。スケールは1/24と謳われているが、どう見ても小さく、実寸は1/27程度である。全体が微妙に寸詰まりで、特にノーズが短い。ただし、ボディ側面の断面形状などは実車の雰囲気をうまく捉えており、膨れすぎなヤマダよりは却って良いくらいだ。各部のモールドも、若干大味ながら実車をしっかり再現しようとしていて好感が持てる。

シャシーは当時の国産カープラモの標準とも言えるモーター走行用のものとなっていて、シリーズ他車と共通のパーツだ。ボディが寸詰まりなのも、このシャシーに合わせて設計されたためであろう。モーターをセットするため室内後半は上げ底となっており、ダッシュボードやシートも実車を再現したものにはなっていない。ボンネットは開閉式となっており、中にエンジンのモールドがレリーフ状になされている。これは内部再現よりむしろ、開閉ギミックそのものの方が主眼だったのであろう。

ここでお見せしている作例は、このエーダイグリップ製グロリアを若干のアレンジを施して制作したものだ。初期のGXではレザートップが標準となるため、ルーフにティッシュペーパーを貼ってこれを再現。また、箱絵ではGXとなっているのに対し、ボディには「GL」とモールドされているので、これは削り落として自作デカールで対応した。ついでに、サイドストライプもデカールを起こしている。このストライプはスポーティなムードをアピールするために、実車ではオプションで用意されていたものである。

このストライプはセドリックにも存在していたが、グロリアではさらにリアスポイラーまでがオプション設定されていた。これが後のグランツーリスモの源流……と言ったらさすがに考えすぎであろうか。このウィングも1mmプラ板で自作して追加している。総じて、デビュー当初のカタログ掲載車両を再現した作品となった。また、前後ともトレッドは左右で1mmほど拡げて、全体の佇まいを改善している。レザートップの加工も含めて工程の詳細は写真のキャプションで説明しているので、古いキットを仕上げる際の参考などになれば幸いだ。

作例制作=棚瀬和重/フォト=服部佳洋 modelcars vol.235より再構成のうえ転載

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