ポルシェの伝統と革新のぶつかり合い! エンジン車とEVの2台巨塔「911GT3」と「タイカンターボS」が忖度なしのガチンコ対決、よりポルシェらしいのはどちらだ――⁉

ルックスと走りはGT3タイカンはGT的キャラ

では911GT3とタイカン・ターボSのどちらを選ぶべきかというと、どこに基準を持ってくるかがポイントとなる。2000万円を軽く越えるクルマを買おうという人なら、充電環境の問題も難なく解決できるだろうから、焦点は”どちらがポルシェとしてより魅力的か”だ。

ルックスは911GT3に軍配が上がる。タイカン・ターボSもポルシェらしい雰囲気で新鮮なイメージだが、保守的と言われても911はやはりポルシェのアイコンであり、そのスタイリングはタイムレスな魅力にあふれている。

走りもやはり911GT3が上だ。パワートレインの性能や加速力はタイカン・ターボSが上だが、圧倒的なボディの剛性感とレーシングカー由来の鍛え上げられたシャシー、そして軽い車両重量による走りのキレ味は、昇天しそうなほど気持ちいい。タイトなバケットシートや硬い乗り心地、騒がしい機械音、社内に張り巡らされたロールケージなど、何もかもエモーショナルに感じられる。とにかく「サーキットで走りたい!」という思いに駆られるクルマだ。

その点、タイカン・ターボSは、エモーションの点で薄く、そこまで積極的に走りを楽しみたいとは感じられなかった。実際にサーキットに持ち込めば、凄まじい走りを披露してくれるはずだが、2.3トンを超える車両重量がネガティブに働くのは容易に想像できる。GT的なキャラクターのモデルであり、一般道を快適に移動するのが似合うクルマという印象である。

ポルシェの世界観をより濃密に体験できる911GT3を選ぶべき、というのが現時点での結論だ。

ポルシェ公式サイト

フォト=小林俊樹/T.Kobayashi ルボラン2022年9月号より転載

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