ロータリーエンジンを大衆車に搭載
コスモスポーツに1年遅れて1968年7月、東洋工業(現マツダ)のロータリーエンジン車・第2弾として送り出されたのが、ファミリア・ロータリークーペである。前年11月に発売した2代目ファミリアのボディを2ドア・クーペに改め、コスモスポーツと同じ10A型2ローター・ユニットを搭載したもので、1967年秋の東京モーターショーに出品されたRX85を市販化したモデルであった。排気量はコスモスポーツと同じ491cc×2でありながら、最高出力は若干デチューンされて100psであったが、小さなボディ(重量825kg)との組み合わせにより、最高速度180km/h、0-400m加速16.4秒という驚くべき高性能を発揮。
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その性能は2Lクラスのスポーツカーと肩を並べるとまで評された。ただし、エンジンに対しシャシーの性能が追い付いていない(サスペンションは前ストラットに後リーフリジッド、前輪のみディスクブレーキ)とも言われたのだが……。それはともかく、70万円という低価格(レシプロのクーペは55万円)で、コスモスポーツ同様の、電気モーターのように際限なく回り続けるロータリー・フィーリングを味わえるとあっては、注目を集めない方がおかしいだろう。世のクルマ好きたちに大きなインパクトを与えたのである。
レシプロ・エンジン車との外観上の最大の違いは丸型テールランプを装着していたことで、以後数年の間、丸型テールはロータリー車を象徴するアイテムとして位置づけられていた。1969年7月には廉価版のEタイプを設定、4ドア・セダンにもロータリーエンジンを搭載し、ロータリーSSとして発売している。11月にはその装備をクーペ同様に豪華にしたロータリーTSSを追加。
1970年3月には、レシプロ車の排気量アップに伴い車名に”プレスト”のサブネームが付き、ロータリー車もファミリア・プレスト・ロータリーに名称を変更。それだけでなく、スーパーデラックスとデラックスの2種類のグレードが設定された。1970年12月にはラジアルタイヤが標準装備のGSを新設。後継的位置づけのサバンナ登場後も販売は続くが、1973年9月、ボディ寸法を拡大するビッグマイナーチェンジが行われた際に、ロータリーエンジン搭載車は廃止となった。
貴重なキットの持ち味を最大限に引き出す
2代目ファミリアについてはオダカの1/24スケールやヤマダの1/21スケールなどもあるが、ここでご覧頂いているプラモデル完成品は、イマイ1/20スケールのロータリークーペを美しくフィニッシュしたものだ。ボディプロポーションの大変良好なキットであるが、フロントオーバーハングのボリュームが足らないので、瞬間接着剤と硬化剤を用いて修正。リアエンドも、トランクフード後端ラインを直線的にし、リアパネルもプラ板で作り直すなど、若干の改修を行っている。前後ランプも流用パーツでシャープに仕上げた。
ボンネットは簡単なヒンジを自作して開閉式に改め(キットは着脱式)、エンジンルームもストラットマウント部が筒抜けなのを埋めた他、補器類や隔壁はバンダイのサバンナやルーチェ、セリカから流用。インテリアはステアリングホイールとシートをニチモ1/20のコスモスポーツから流用し、千鳥格子の柄はハセガワ1/24コスモスポーツのデカールを拡大コピーして使用している。ホイールはキットのものの出来があまり良くないので、ヤマダ1/21ファミリアから流用した。これら追加工作が輝くのも、ベースキットの素晴らしさがあればこそである。
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