北海道ロケ編で初登場、最後はダンプに潰された前期グロリア
グロリアは、今はもう消えてしまった車名であるが、日本を代表する高級車のひとつであった。プリンス・スカイラインの上級モデルとして生まれたグロリアは、2代目から専用のボディを与えられ、プリンスの先進技術をアピールする存在ともなった。しかしそのモデルライフ途中でプリンスは日産に吸収合併され、車名が消えることはなかったものの、徐々にセドリックの兄弟車となっていったのである。4代目グロリア(230型系)ではそれでも専用のボンネットが与えられていたが、5代目(330型系)ではボディパネルは完全に統一された。
330型系セドリック/グロリアのデビューは1975年。先代230型系の基本設計(L型エンジン、前ダブルウィッシュボーン/後リーフのサスペンションなど)をほぼ受け継いでおり、大規模なスキンチェンジと言っても良いほどだった。大きな違いは、3ナンバー用のL型エンジンの排気量が2.6Lから2.8Lにアップされたこと、そして排ガス規制対応のためのデバイスが各種装着されたことである。ボディ形式は先代同様に4ドアのセダンとハードトップ、2ドアのハードトップ、そしてバン。330型ではなぜかワゴンは設定されていなかった。
そのボディスタイルは、230型のアメリカン志向をさらに強調した印象のもので、フロントグリルやウェストラインが230よりもさらに彫り深く、複雑なものとなっていた。330型と言えば、特定の世代に強烈な印象を残したのが『大都会』や『西部警察』といったTVの刑事ドラマにおける活躍である。特に『西部警察』ではカースタントのメイン車両となって横転や爆発、その他さまざまに体を張った演技を見せたものだが、そのアメリカ調のデザインはそうした場でひときわ輝いて見えたものである。
ここでお見せしているのは、そんな330型グロリアの4ドア・セダン2800SGLを、1/24スケールで再現した模型である。『西部警察』では何台もの330が激突、横転、爆発したものだが、この作品が再現したのは、『西部警察PART-Ⅱ』から『同PART-Ⅲ』にかけて何回か登場し、最後はダンプにトランクを潰されて絶命した個体だ。330型セドグロの1/24スケールのプラモデルは、アオシマからリリースされている4ドア・ハードトップが唯一のもので、この作品もそれをベースにしているが、その改造は一筋縄で行くものではなかった。
幅を詰めてケンメリのキャビンを移植
アオシマの330は迫力を強調する意図か、幅が3mmほど広く造形されている。そのままセダン化を行っても実車の趣は再現できないので、まずボディの幅を詰めることとした。幅詰め前に、オーバーハング裾の巻き込みが足りない部分を加工。ボディ、バンパーともに切り込みを入れて再接合することで、ボディ前後に丸みを帯びさせる(リアも同じ加工をした)。バンパーの写真はメッキのパーツが無加工、下がすぼめた状態。ボディは真ん中で切断、切断面を両方とも1.5mmずつ削る。そして裏から補強を当てつつ継ぎ合わせた。
アオシマの330のもうひとつの問題はキャビン側面がそそり立っていて、前後ウィンドウも平たいことだ。そこで、マイクロエース(旧エルエス金型)のケンメリ4ドアからキャビンを移植することにした。他キットのボディを利用する理由は、ある程度の強度が保てること、そしてガラスのパーツが流用できることである。前後の長さがこの2車では当然合わないので、前後に分けて使用し、間はもうひとつのケンメリから切り出して埋めている。カウルトップのパネルは一旦切り離し、窓枠に合わせた丸い形に加工して再びハメ直した。
リアエンドはセダンの方が高いのでそのように造形する必要があるが、実はアオシマのボディはリアオーバーハングが3mmほど短い。プラ材を貼り重ねて延長とカサ上げし、削り出して造形していく。実車はなかなか丸みが強い形なので、そこに気を付けつつ、Cピラーやウェストライン(セダンとハードトップでは異なっている)なども形を出していくが、セロテープで養生しつつ削るとエッジを上手く出すことができる。トランク部のプレスはプラ棒を貼り込んで再現し、リアエンドのメッキモールは洋白線を曲げて取り付けた。
窓枠やグリル、テールランプなどの細部について説明しているとキリがないので、この辺にとどめておこう。エンブレムはアオシマのエッチングを430用も含めて使用したほか、Cピラーのバッジは初代マスタング用のもの(モデルカーガレージ製)、前後フードの大きなバッジはネットで見つけた実物の画像を縮小コピーし切り出して貼っている。
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