初めて『インテグラーレ』の車名を冠したランチア・デルタHFインテグラーレは、通称8Vと呼ばれ、それ以前のモデルを仮に”ナロー”と呼ぶならば、ナロー・デルタの魅力はそのシンプルなスタイリングだ。目にする機会は極端に少ないが、過去、こうしてHFターボ、HF4WDという2台を取材する機会に恵まれている。ここではその様子を振り返りたい。
デルタがインテグラーレを名乗る前のモデルに関しては、未知の領域だった。8Vはカー・マガジンではお馴染みの田中秀宣カメラマンが乗っていたし、16Vはかつて自身で所有。エボルツィオーネ以降は、いろいろと試乗する機会があった。しかしそれ以前は、たまにイベントで見かける程度。だからこそ気になっていた。乗ったらどうなのかと。
ジョルジェット・ジウジアーロ御大がデザインしたランチア・デルタは元々のフォルムがシンプルで素晴らしく、実は一番好きなのは初期モデルのスタイルだったりする。だからそれに限りなく近いインテグラーレ前のモデルたちもまた、形だけで言えば好みだ。
そして過去、まだ四角目時代のスポーツモデルであるHFターボと、その延長にあり、WRCグループBマシンであるデルタS4の代わりに急きょグループAホモロゲモデルとなったHF4WDを、それぞれ取材できたのは幸運だった。何せ前者は名古屋の『サンアイ自動車』、後者は静岡の『ビアルベーロ』と、都内からはそれなりに距離があったからだ。
しかし駆け付けたかいはあった。いずれも動き出しが軽く、その速さが自分のイメージする速度感に近く、とにかく体にあうのだ。街中で流した程度なので4WDのトラクションはわからなかったが、両方乗った方に聞くと、高速域での安心感は4WDが上とのこと。
インテグラーレ以降のデルタがヒットしたのは、そのベースモデルが名車とも言えるスタイリングと性能を持っていたから。いずれもそう確信できる貴重な経験となった。
*当記事は『スクランブル・アーカイブ ランチア・デルタ』より再収録したものです。こちらも含めたランチア・デルタのすべてがわかる1冊、詳しくはこちらにて!
https://www.neko.co.jp/magazine/scramble-archive-lanciadelta
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