フォルクスワーゲン・タイプ2はビートルのメカニカル・コンポーネンツを流用して1950年に誕生した商用車で、正式名称は「トランスポルター」だ。よく言われる「T1」はその第1世代を意味し、現在のヴァナゴンのルーツに当たる。
VWの本拠ウォルフスブルグ工場では、1940年代当時、ビートルのベアシャシーを流用した構内運搬車を使用していたが、これを見たオランダのディーラー主ベン・ポンが商用車としての製品化を提案、彼自身によるスケッチを元にトランスポルターが開発された。実際にはビートルのベアシャシーは積載荷重に耐えられなかったために、専用のラダーフレームが採用され、ビートルと同じ空冷フラット4エンジンがリアエンドに搭載された。サスペンションもビートルの部品を補強したものが使われている。
ダブルキャブ・ピックアップのプラモはない――ならば改造だ!
トランスポルターのボディ形態はモノスペース・タイプのバン、コンビ(乗用ワゴン)、マイクロバス、そして1列シートのピックアップに2列シートのダブルキャブ・ピックアップと、計5種類があったが、ハセガワ製プラモデルのタイプ2はバン/マイクロバス/1列ピックアップの3種類だけがラインナップされている。実車同様に同社製ビートルの部品を一部流用しており、インテリアの側面トリムが省略されるなどシンプルな作りだが、ピックアップは荷台のディテール再現に見応えがある好キットだ。今回はこれを元に、キットが存在しないダブルキャブ・ピックアップを制作した。
ダブルキャブのキャビン後端部は通常型ピックアップと同一なので、キットのボディのルーフ後端8mmほどを切り取ってキャビン背面パネルと合体、荷台前端部を34mm切り取り、その分だけ背面パネルを後退させた。ルーフの延長分とドア後方の側面パネルは、0.5mmプラ板とパテで造形している。
側面アオリはほぼ自作とあいなった
荷台側面のアオリは別部品だが、単純に切り詰めて使うことは出来ない。長方形のプレス形状があるのだが、通常型ピックアップとダブルキャブではこの長方形の長さが微妙に違うのだ。そのためアオリの上部のフチのみを生かし、あとは0.5/0.3mmプラ板でそっくり自作した。荷台の木製滑り板も別部品だが、これは短縮した荷台に合わせて切り詰めて使った。
ルーフキャリアは純正オプションではないが、荷台が狭いダブルキャブには装着例が多く見られる。実は、完成直前にルーフ接合部に不測の事態が発生し、ボロ隠しで急遽自作したものだが、見栄えという点では付けて正解だったかもしれない。制作には洋白の角棒と丸線を使用し、ハンダ付けで組んでいる。
車体色の少しくすんだグリーンは実車のカタログカラーの近似色で、Mr.カラーGXモウリーグリーンにグレーを加えたもの。側面のロゴはレーザープリンターによる自作デカールで、Lindeはフォークリフトのメーカー、KUNDENDIENSTはドイツ語でアフターサービスを意味する。Lindeは実際に多くのタイプ2をサービスカーとして使用していた。ダブルキャブは商用車と乗用車の中間のような雰囲気に独自の魅力がある。プラモデル化を切にお願いしたい!
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