
理想の接地荷重を求めた重量級ボディ
日産自動車のカルロス・ゴーン社長から全権を委ねられて開発の陣頭指揮に当たった水野和敏は、ただただ「最高の自動車」を作ることしか考えていなかった。だから好評のスカイラインを支えたFMプラットフォームなどに見向きもせず、すべて白紙から発想を進めた。そして、何でもかんでも軽量化という世の流れにも、真っ向から疑いの酸を浴びせた。開発テストはベテランのレーシングドライバー鈴木利男を中心として、高性能車の虎の穴ニュルブルクリンクで行ない、国内ではハイランドレースウェイを攻めまくった。求めたのは理想の接地状態だった。
無用に多気筒にせずV6を奥深く押し込んでフロントミッドシップ配置とし、デュアルクラッチの6速トランスミッションをデフと一体化してリアにおくトランスアクスル方式としたのは、そのためだった(そこから前方にプロペラシャフトを伸ばして4WDとした)。フラットライドへのこだわりも半端ではなかった。どんな瞬間もサスペンションが正しく伸縮し、タイヤを正しく接地させなければ、安心して高速で走れない。しかし、言うは易く行なうは難し。たとえばニュルブルクリンクの高速区間で突起を通過すると、タイヤ一本にかかる荷重は瞬間5トンにも6トンにも達する。それに耐えるようにサスペンションアームはもとより、スプリングもダンパーも、それを取り付ける車体も徹底的に鍛え抜いた。その結果1.7トンを超える重量になってしまったが、どんな外乱でもびくともしない絶対的な安定性を手に入れることができた。
そのうえでコクピットのスイッチにより、ダンパーの減衰特性も変速機のモードも、マイルドからレース的な走行までカバーできるように切り換えられるが、そんな変化を味わえるのも、この強固なボディとシャシーがあればこそ。3.8LツインターボのV6は初期型でも480ps、最新モデルでは550ps、さらに特別なNISMO仕様では600psを叩き出し、武骨な外観そのままの暴虐的な高速走行を演ずるが、実はドライバーは緊張することなく、鼻唄まじりで性能を満喫できる。
性能といえば、日本国内の特定のサーキットに行った時だけカーナビがそれを感知し、180km/hのリミッターを解除するモードもあって、ストレートさえ長ければ300km/h以上まで伸びるとも言われている。この動力性能と操縦性は、ニュルブルクリンクで記録した最速タイムに対してポルシェが真剣にクレームを付け、日産との間で論争が起きたことでも実証された。人間が必死にクルマに従うのではなく、クルマが優しく人間の可能性を見守り引き出してくれるのがGT-R。いろいろな意味で究極のスーパーカーと言えるのではないだろうか。
■関連記事
- チャンピオンの貫禄と迫力に平伏せよ!タミヤ製プラモ「ザナヴィ・ニスモZ」をちょっとだけアレンジ・前編【モデルカーズ】
- 【スクープ】日産「スカイライン」次期型はクロスオーバーのほか怒涛の展開を見せるか?
関連記事

ニヤリと笑みを浮かべた顔つきが不穏な高級車!日産グロリア(230G型系)【魅惑の自動車カタログ・レミニセンス】第4回
魅惑の自動車カタログ
2023.03.23

日産、プロトタイプセダン「コンテンポラリー ライフスタイル ビークル」を公開。セダンで現代の「食う・寝る・遊ぶ」など日常を実現
ニュース&トピックス
2023.03.23

空力性能を向上させる新デザインの採用でさらに洗練された「日産GT-R」の2024年モデルを発表!
ニュース&トピックス
2023.03.22

ダイナミックでスーパーな88馬力!フジミ製プラモ「スカイラインS54」をショートノーズ化する・後編【モデルカーズ】
モデルカーズ
2023.03.17
愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?
複数社を比較して、最高値で売却しよう!
車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。
手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!
一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業電話ラッシュをなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!
【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>