ポテンシャルを解き放たずとも余裕の走りを実感
アルファ ロメオ伝統の「スポーツと美の融合」を体現するピュアスポーツSUVとして誕生したステルヴィオ。改めてその魅力の源泉を探るべく、最上位パフォーマンスモデルであるクアドリフォリオをパートナーに、磐梯山周辺のワインディングロードを巡る1泊2日のロードトリップ取材に出掛けてみた。
【写真35枚】「スポーツと美の融合」を体現するピュアスポーツSUV、アルファ ロメオ ステルヴィオの詳細を写真で見る
まずは、都内をスタートして早朝の東北自動車道を約250km先の福島西ICに向かう。周囲の走行ペースも安定していたので、ALFA™ DNAドライブモードシステムはデフォルトの「N(ナチュラル)」。右足の微妙なアクセル操作で意のままの速度を維持できるコントロール性のよさもさることながら、路面のアンジュレーションに即応するALFA™アクティブサスペンションの制御が長距離走を快適なクルージングへと昇華させるから、前走車追従型クルーズコントロールのHAS(ハイウェイアシストシステム)も併せて駆使すれば、どこまででも走り続けられそうな気分になる。
福島県の磐梯エリアに集まる極上の快走ルートには、磐梯吾妻スカイライン、磐梯吾妻レークライン、磐梯山ゴールドライン、西吾妻スカイバレーという4つのルートがある。いずれも初夏から紅葉の季節にかけて風光明媚な景観が堪能できて路面コンディションも上々。連続するコーナーやアップダウンはステルヴィオ クアドリフォリオ本来の実力を開放できるシチュエーションということで、最も人気の高い磐梯吾妻スカイラインを真っ先に目指した。
高湯温泉と土湯峠とを結ぶ全長27㎞の磐梯吾妻スカイラインは、中央分水嶺の稜線伝いに標高1622mの最高地点を越えていく。吾妻小富士や一切経山、浄土平など火山が織りなす変化に富んだ風景と、磐梯山、猪苗代湖などの遠景も満喫しながらドライブできるのも、最高出力510psと最大トルク600Nmを発揮するフロントミッドシップに搭載したアルミモノブロック製2.9リッターV6ツインターボ・エンジンが、潜在能力をフルに解放するまでもなく走りに十分な余裕を与えてくれるからだ。獰猛ともいえるレベルの動力性能を持ちながら周囲を威嚇することもなく、8速オートマチックトランスミッションの素早く的確な変速のおかげで、急勾配やタイトターンの連続でも、その振る舞いは極めて穏やかで優雅といえる。
磐梯吾妻スカイラインを北から南へと走り抜け、終点の土湯峠からいったん猪苗代湖畔まで下って会津若松の町へと向かう。ステルヴィオ クアドリフォリオの全長4,700mm×全幅1,955mm×全高1,680mmというボディサイズを考えれば、いかにも城下町らしい狭い道や一方通行が残る会津若松は躊躇してしまうものだが、アルファ ロメオらしくドライバーを中心に4隅のタイヤの位置をしっかり意識させる設計に加え、ドライビングポジションの高いSUVならではの視点で特にフロントの見切りがいいステルヴィオは、難なく会津若松城下の道路に適応できた。
ドライバーを中心に据えたアルファ ロメオの思想に共感
会津若松から磐梯山の山頂西側を抜けていく磐梯山ゴールドラインでは、荒々しい姿の爆裂火口を間近に眺めることができる。1888年(明治21年)に発生した磐梯山噴火は甚大な被害をもたらした一方で、溶岩流や土石流に堰き止められた河川は大小の湖沼群となり、やがてそれらは裏磐梯ならではの美しい景観を生み出した。そんな風景を存分に味わえる磐梯吾妻レークラインは現在、全長約13㎞のうち東側約5㎞の区間が通行止めだが中津川渓谷レストハウスまで往復できる。
こうした林間ルートをドライブしていて気づくのは、シンプルながら必要十分な機能で満たされたコクピットの使いやすさである。アルファ ロメオ独自のドライバーオリエンテッドな思想に基づくのだろう、ワインディングロードでドライビングに没頭するには丁度いい情報量だ。静寂の中で耳に届くエンジンサウンドとエキゾーストノートも常にステルヴィオの鼓動を意識させるようで心地いい。前255/40R21と後285/35R21サイズの専用タイヤが伝えてくる路面のインフォメーションも、クルマとの一体感を強く意識させるスポーツドライビングの大切なエッセンスに思えてくる。
森と湖、山と渓谷が織りなす素晴らしい眺めを存分に楽しんで、名勝・五色沼湖沼群の近くに建つHOTELLI aalto(ホテリ・アアルト)にチェックインする。自然と共生する北欧のイメージで統一された山荘の装いとオーガニックなホスピタリティに身を委ねながら、スポーツドライビングの余韻を楽しむことができたのは嬉しい特典だ。
【問い合わせ先】HOTELLI aalto ホテリ・アアルト
〒969-2701 福島県耶麻郡麻郡北塩原村大字檜原字大府平1073-153
TEL:0241-23-5100
HP:https://hotelliaalto.com/(お問い合わせ、予約受付10:00~19:00)
HOTELLI AALTOの至近にある諸橋近代美術館に立ち寄る。中世の城にある厩舎をイメージした本館と見事な庭園とが織りなす景観にステルヴィオを置いてみると、アルファ ロメオが持つ独特な存在感と流麗なスタイリングが際立つ(特別に撮影許可を得ています)。
公益財団法人 諸橋近代美術館
〒969-2701 福島県耶麻郡北塩原村大字桧原字原剣ケ峯1093-23
TEL:0241-37-1088
開館時間:9:30~17:00(最終入館16:30)
※2022年11月14日(月)~2023年4月19日(水)まで冬期休館
HP:https://dali.jp/
翌朝は桧原湖の東岸を北上し、磐梯吾妻スカイラインと双璧をなす絶景ロードとして知られる西吾妻スカイバレーの白布峠へ。会津と米沢を隔てる険しい山並みを連続するタイトターンを一気に駆け上がっていく。もちろんALFA™ DNAドライブモードシステムは「D(ダイナミック)」を選ぶ。コーナリング手前のややハードなブレーキングで確実に車速をコントロールし、クイックなステアリング特性を活かしてイメージ通りのラインをトレース。優れた前後重量バランスと引き締まったサスペンション、前後左右に最適な駆動力を配分する電子制御式4WDシステムが連動することで、次のアクションに向かう姿勢もピタリと定まる。
今回はRACEモードに挑戦するシーンはなかったが、コーナーを脱出し鋭いアクセルレスポンスで加速に移行していく瞬間には、3.8秒で100km/hに到達する卓越した動力性能の片鱗が確かめられた。シフトアップを経てまた次のタイトターンにチャレンジしていく反復ですら快感となる……。こんな官能的なドライビングが永遠に続けばいいとさえ思えた。
こうして磐梯山周辺の美しい自然と気持ちいいワインディングロードを心ゆくまで堪能できたが、このまま帰途についてしまうのはあまりにも惜しい。ということで会津西街道の大内宿と猪苗代湖南岸の布引高原にも。そんな欲張りな寄り道に向かう気分にさせるのは、他ブランドにはないスタイリッシュで有機的なフォルムと秘めたる獰猛さとのギャップもさることながら、このステルヴィオ自体が持つ安心して身を委ねられる頼もしさを感じたからだろう。2日間のロードトリップを共に過ごしてみて、このまま手元に置いておきたいと感じたのは偽らざる事実である。
【SPECIFICATION】ALFA ROMEO STELVIO 2.9 V6 BI-TURBO QUADRIFOGLIO
■全長×全幅×全高:4700×1955×1680mm
■エンジン形式:V型6気筒DOHC24バルブインタークーラー付きツインターボ
■総排気量:2891cc
■最高出力:510PS/6500rpm
■最大トルク:600Nm/2500rpm
■変速機:8速A/T
■メーカー希望小売価格(税込):13,830,000円
※取材車両は現行モデルとは異なります。
“豪華”でエクスクルーシブな限定車
イタリア語の「LUSSO=豪華な、贅沢な」を冠した全国50台の限定車、STELVIO 2.2 TURBO DIESEL Q4 EDIZIONE LUSSOは、ヴィズヴィオグレーの専用ボディーカラーにクロームで仕立てたディティールや光沢シルバーの21インチアルミホイール、ブラック仕上げのブレーキキャリパー等を専用で装備。harman/kardonプレミアムオーディオシステムを備えたキャビンにはベージュを基調にした上質なレザーインテリアが与えられている。メーカー希望小売価格(税込)は7,668,000円。
アルファ ロメオ ステルヴィオ ルッソ公式サイト
PROFILE:佐藤 玄
今回は旅のナビゲーターを務めたル・ボラン副編集長。旅行記やロングドライブ企画を得意とし、サーキットでのスポーツ走行より、走る道に合わせてドライブを楽しみたいグランドツーリング派。よってクルマはサルーンやステーションワゴンを愛好する。