マツダ・ロードスターがビックマイナーチェンジを行なった。2015年に登場した4代目の現行モデル(ND型)としては、過去最大の大きな改良となるそうだが、それによってロードスターの走りはどのように進化したのだろうか?
サイバー対策を機にロードスターの走りが深化
マツダのロードスターは、1989年に初代が登場して以来、4世代にわたってラインナップを続けており、累計の販売台数は120万台以上を記録。マツダを代表するモデルとして人気を博してきた。
そんな同社は昨年10月5日にND型ロードスターとしては過去最大の大幅改良を行なった。改良のきっかけは、国連規則のサイバーセキュリティ法に対応することが、新型車だけでなく継続生産車にも求められることになったからだ。この法規に対応するため、ロードスターはE/Eアーキテクチャーと呼ばれる電気/電子プラットフォームを刷新することになった。そのタイミングで“人馬一体”の走りを進化させるべく、開発に取り組んだという。まずは、見た目に関しては新しくデイタイムランニングライトが採用された程度でほとんど変わっていない。
最大のポイントは、ダイナミクス性能とマツダコネクトの進化だ。改良の柱として紹介したいのは、従来のスーパーLSDにかえて採用した新開発のアシンメトリックLSDだ。このLSDは必要なシーンで適切な差動制限力を与えることで、ロードスターらしい軽快感はそのままに、コーナーの安定感と安定感を高めるアイテムだ。
今回は、その効果を確かめるためにワインディングロードを駆けぬけてみた。旧型は下りコーナーでリアがめくれあがるような感覚で、挙動が不安定になりがちであったが、新型は接地が抜けそうになる感覚が抑制され、安心してコーナーへ入っていくことができるのだ。また、コーナーの立ち上がりでスーパーLSDは、アクセルオンによって一気にオーバーステアになるピーキーな特性があったが、それを抑制しつつ優れたトラクション性能を得ている。
さらに新型には、サーキットでの走行に最適化した横滑り防止装置「DSC」の新制御モードである「DSC-TRACK」を新たに追加しているのもポイントだ。
ほかには、より軽やかで正確なステリングフィールを実現するため、ステアリングシステムにも改良を加え、クルマとの一体感をさらに高めている。
1.5L直4エンジンは、国内の無鉛プレミアムに合わせた専用セッティングを施すことで最高出力は4ps向上。数値的には微々たるものだが、試乗すると明らかに違い、7500rpmまで振動もなくスムーズに回るようになった。
インテリアには前方の視界を確保しながら、エアバッグ作動時の干渉を避けるため、ディスプレイの縁部分をできるだけ狭くしたフレームレスデザインの8.8インチセンターディスプレイを新たに採用する。加えて、スマホからアプリを通じて車両の状態が確認できたり、万が一の事故の際には自動で救急車を手配するマツダコネクティッドサービスも搭載する。
今回の改良にあわせて大人気の特別仕様車「990S」は廃止となってしまったが、人馬一体感が深まった新型ロードスターは自信をもってオススメしたい。
【Specification】マツダ・ロードスターRS
■車両本体価格(税込)=3,679,500円
■全長×全幅×全高=3915×1735×1235mm
■ホイールベース=2310mm
■トレッド=前:1495、後:1505mm
■車両重量=1040kg
■エンジン型式/種類=P5-VP/直4DOHC16V
■内径×行程=74.5×85.8mm
■圧縮比=13.0
■総排気量=1496cc
■最高出力=136ps(100kW)/7000rpm
■最大トルク=152Nm(15.5kg-m)/4500rpm
■燃料タンク容量=40L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=16.8km/L
■トランスミッション形式=6速MT
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前:Vディスク、後:ディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:195/50R16
問い合わせ先=マツダ 0120-386-919
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