「ディーゼル推し」から方針転換。一気に電化を加速させる
ラスベガスで開催されている世界最大級の家電見本市「コンシューマー エレクトロニクス ショー(CES)」。フォルクスワーゲンからは2台のコンセプトカーが出展され、乗用車ブランド取締役会会長のDr. ヘルベルト・ディースによって基調講演が行われた。
まずは、いにしえの「ワーゲンバス」を彷彿させる「BUDD-e」から。この外観についてはデュース氏自ら「初代を現代的にアレンジしたもの」と述べているものの、中身はほど遠く、フロア全面に板状のバッテリーモジュールを敷くモジュラー エレクトリック ドライブキット(MEB)と呼ぶプラットフォームを採用した最新のEVだ。92.4kWhの電池容量は後期モデルの日産リーフのなんと約3倍。おかげで航続距離は新欧州運転試験サイクル(NEDC)で533km、米国環境保護庁による予測実走行可能距離(EPA)でも233マイル(約375km)に達する。電気モーターは2基を車両の前後端に搭載し、それにより4輪すべてを駆動。合計235kW/317psを発生するので動力性能も十分で、最高速度は180km/h、0-97km/h加速は6.9秒(BMW320dと同程度)とのことである。
EVで気になるのは充電に要する時間だが、BUDD-eはその点でも注目に値する。直流150kWで30分もあれば80%まで充電可能なので、EPAの航続距離を基準にすれば、ほとんど放電した状態からでも30分で約300kmを走れるようになるわけだ。バッテリーをフロアに敷き詰めることでインテリアデザインに制限がなくなるところもMEBのメリットとして挙げられる。BUDD-eがワーゲンバスの現代版として仕立てられたのは、その効果を最大限に表現するためなのだろう。
もう1台は、市販モデルをベースにした「e-Golf Touch」。こちらは最先端インフォテインメントシステムのデモンストレーションだ。9.2インチディスプレイを擁する進化型モジュラー インフォテインメント ツールキット(MIB)を中核に、革新的なジェスチャーコントロールを採用している。
講演では自動運転についても触れられ、ディース氏は「そう遠くなく自動運転は日常生活の一部となるでしょう。これらの最先端技術をどのように活用し、顧客にお届けしていくか、たくさんのアイデアを持っています」と前向きに語っている。フォルクスワーゲンの巻き返しに期待したい。
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