近代セドグロの方向性を確立したY31
ジャンクションプロデュース仕様のY31セドリックについて、前編の記事(下の「関連記事」参照)では1/24プラモデル作例の詳細を述べた。後編のこの記事では、実車のY31型系セドリック/グロリアについて説明しておこう。
【画像38枚】ボディ細部仕上げから塗装、内装、組み立てまで、作例の工程を見る!
セドリックとしては七代目、グロリアとしては八代目となるY31型系は、1987年6月に登場した。ボディ形式は先代Y30同様に4ドアのハードトップとセダンをラインナップ、このほかにワゴン/バンがあるがこれはモデルチェンジされず、WY30/VY30が継続生産となっている。ボディサイズは5ナンバー枠いっぱいの全長4690mm/全幅1695mmを基本に、3ナンバーモデルは大型のバンパーやサイドモールを装着することで差別化を行っていた。3ナンバー専用ボディは翌年発売のシーマで実現することとなる。
このY31については、デビュー前から「今度のセドグロはすごいらしいぞ」と自動車業界内で前評判が立っていたと言われているが、登場当時のインパクトはたしかに大きなものであった。まずそのスタイリングだが、従来はとにかく重厚感を第一にデザインされてきたものがガラリと変わり、低く抑えて絞り込んだノーズを特徴とする柔らかなものに変化。リアはハイデッキで、それまでの水平基調スタイルとはかなり印象を異にした。ハードトップはセドグロ最後となるピラーレスボディ、セダンはプレスドアを採用していたのも特徴である。
エンジンは先代同様にV型6気筒のVG型がメインで、3L版はターボのVG30ET(195ps)とVG30E(160㎰)の2種。2Lは新たに登場したツインカム(+セラミックターボ)のVG20DET(185ps)とVG20E(125ps)の2種。そして2.8LディーゼルのRD28(94ps)もあり、オーナードライバー向けモデルのエンジンは合計5種類となる(他にLPG仕様のRB20やCA20が存在)。トランスミッションにはフルレンジ電子制御オートマチック(E-AT)を採用、サスペンションはリアがセミトレーリングアームに替わり四輪独立懸架へと進化した(フロントはストラット)。また最上級モデルのブロアムVIPには電子制御エアサスペンションも設定されている。
前評判が立つほどの激変、その最たるものは、2Lモデルに設定されたグランツーリスモと呼ばれるモデルであろう。保守的なイメージの強い国産高級車の中にあって、走りを前面に押し出したそのスタイルは強烈だった。フロントにはフォグランプを組み込んだエアダム型バンパーを装備、フードマスコットも省略され、全体に光り物が少ない印象となっている。もちろん足周りも固められており、2Lツインカムターボとの組み合わせによる走りは強烈なものだった。ベースとなるグランツーリスモと上級モデルのグランツーリスモSVがあり、後者はVG20DET搭載車のみに設定された。
全体のグレード構成について述べると、最上級モデルのブロアムVIPは3Lのターボとノンターボ双方に存在、ブロアムはターボなしのみ。2Lの最上級モデルはツインカムターボのブロアムで、先代までSGLなどの名が使われてきた中間グレードはクラシック系となり、ベーシックなクラシックと上級モデルのクラシックSVが設定された。このほかに前述のグランツーリスモ系があるが、これはセダンにはなくハードトップのみのモデルであった。逆にセダンのみのグレードとしては、営業車用となるオリジナル(CA20搭載)が存在する。
グレードの追加や限定車の発売が相次ぐ
Y31は専門家からの評価も高く、好調なセールスを記録。ただし、強烈なグランツーリスモと、ワイドボディのシーマに挟まれて、3Lのブロアム系は存在感が薄れてしまったようだが……。デビューから3ヶ月後の1987年9月(この時点ではシーマ発表前)には、2LのブロアムにVG20E搭載車を追加。1988年6月にはセダンにもグランツーリスモSVを設定、これはマニア好みのモデルとして現在でも一部で人気が高い。同年10月にはハードトップの限定車(300台)としてグランツーリスモ・スーパーSVを発売。これは本革シートやJBLスピーカーなどが装備されたモデルだった。
1989年6月にはマイナーチェンジを実施、セドリック/グロリアともにテールランプが左右独立した形となる(ハードトップ)など、細部のデザイン変更を行っている。技術面では、当時世界初の電子制御5速オートマチック(5E-AT)を採用。またVG20DETにはインタークーラーが装備され、最高出力を210psへとアップ。これを搭載する2Lのブロアムには大型バンパーなどが装備され、3Lモデルと同じ外観となった。
1990年1月には誕生30周年記念車として、VG20DET搭載車の限定モデルを2種発売。ブロアム・ホワイトセレクションはオフホワイトの、グランツーリスモ・ブラックSVはブラックの、それぞれ本革シートと豪華装備を奢った仕様(各500台)であった。同年8月には「3ナンバー車の需要拡大に対応するため」VG30E搭載の30セレクションと、VG20E/RD28搭載のブロアムセレクションという2グレード/3モデルを追加。
1990年の動きは目まぐるしく、さらに10月にはグランツーリスモ系の車種拡充を実施。VG20DET搭載車にはグランツーリスモ・スーパーSVを追加、これは本革シートやJBLスピーカーを装備したもので、以前の限定車が正規モデルになったものとも言えるだろう。VG20E搭載車にはグランツーリスモSが加わったが、これはベースのグランツーリスモの装備を若干豪華にしたもの(専用の内装生地や集中ドアロックなどを採用)であった。
1991年にもグレードの追加は続き、2月にはクラシック(VG20E/RD28搭載)を若干豪華にしたクラシックSを発売。このクラシックSでは、アルミホイールやフロント合わせぼかしガラス、内装のモケット生地などが標準装備となる。この後、同年6月にはフルモデルチェンジを実施。Y32型系へと移行するがこれはハードトップのみで、セダンは規模の大きいマイナーチェンジを行い(リアピラーが太くなりオペラウィンドウを廃止)Y31のまま継続生産されることとなる。
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