華やかなスタイルで1980年代を彩った二代目
復活の噂……と言うより願望のような記事が今も時折ネットを賑わす、ホンダ・プレリュード。スペシャリティカーというジャンルの代表車種として、シルビアやセリカ、ソアラなどとも鎬を削った名車だ。一時はそのカテゴリーの覇者ともなったプレリュードだが、それは三代目でのことと言ってよい。しかし、その基礎を作ったのは、1982年に登場した二代目だった。
【画像41枚】見事に再現されたプレリュードSiとその制作工程を見る!
初代モデルがデビューしたのは1978年のこと、1300クーペ/145クーペ以来となるホンダ久々の2ドア・クーペとなる。その登場は、シビックとアコードによって四輪車メーカーとしての地位を固めたホンダが、さらなる飛躍を目指したものだったと言ってよいだろう。3ドアのアコードとほぼ同等、あるいは小さいくらいのボディサイズ上に端正なノッチバック・クーペのボディを構築。そのボディラインは、当時のメルセデスSLやSLCを意識したものというイメージが強かった。
レイアウトはFFで、サスペンションは前後ともストラット、エンジンは直列4気筒SOHC 1.8Lのみ。モデル末期には4輪ディスクブレーキを装備したモデルを追加するなどしているが、逆に言えばそれくらいしか特筆すべき点はなく、スタイリングも同時期のバラードやクイントなどに通ずるイメージであったため、スペシャリティカーとしてはどうにも地味な印象を払拭できず、販売台数も振るわなかったようである。
こうした状況を打破すべく、1982年11月に登場したのが、”FFスーパーボルテージ”のキャッチも勇ましい(意味不明ではあるが)、二代目プレリュードであった。何よりも変わったのはスタイリングで、低く、ワイドなボディにリトラクタブルライトを具え、ひときわスポーティなイメージに変化。サイズも全長4295mm、ホイールベース2450mmと、先代より大きくなっている。何より、低く構えたフロントノーズに、他のホンダ車に通じる印象は全くなかった。
レイアウトがFFである点は変わらないが、サスペンションはフロントをダブルウィッシュボーンに変更しており、これが低いノーズを作ることにも貢献している。リアは先代同様にマクファーソンストラットを採用しているが、車体の中央にほぼ届くほど長いリバースAアームを具えたサスペンションを新開発。ブレーキは下位モデルを除き4輪ディスク、また、国産車初であるABS(ホンダではALBと呼称)を装備したことも話題を呼んだ。エンジンは先代と同じ直4 SOHC 1.8Lながら12バルブ(吸気側が2バルブ)化したES型(125ps)を搭載している。
こうしてデビューした二代目プレリュードは、そのスタイリッシュさから大いに人気を呼んだ。汗臭さや押しつけがましさとは無縁のファッション性は女性にも受けがよく、デートカーとしての地位を確立したのである。しかし、走行性に対する不満の声があったのか、あるいは元々メーカー側にそうした欲求があったのか、1985年6月には、ハイパフォーマンス・モデルとしてSiが追加されている。これは2L DOHCのB20A型エンジン(160ps)を積んだもので、ボディ前後やボンネットなど細部のデザインでも差別化されていた。そうして1987年のモデルチェンジまで、二代目プレリュードは5年にわたって生産されたのである。
発売当時はまだ珍しかったフルディテールキット
高い人気を誇った二代目プレリュードだが、プラモデルはタミヤとフジミの2社のみからリリースされていた。フジミは1/48という小スケールであり、1/24ということになるとタミヤのみである。タミヤのスポーツカーシリーズとしてはNo.32というこのプレリュードだが、モーター走行を廃したディスプレイモデル、かつエンジンが上げ底ではなくフルに再現されたキット、ということではメルセデス500SECに次ぐ2作目となる。
タミヤのプレリュードは実車デビューからさほど間を置かずにリリースされたこともあり、当初のトップグレードであるXXの再現であるが、ホンダ党や1980年代国産車の愛好家には、やはりSiのキット化でないことが残念に思えるだろう。そこで、このキットに徹底的な改修を加えてSiを再現したのが、ここでお目にかけている作例である。その工作の詳細については工程写真の解説、さらには後編の記事でお楽しみいただきたい。
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