レース用ユニットを載せた特別なコルベット
第二次大戦後、帰還兵たちがヨーロッパから持ち帰ってきたMGなどに触発されて生まれた、アメリカ唯一の量産スポーツカー、シボレー・コルベット。1953年型でのデビュー当初は外観だけが売りのような印象だったが、エンジンの変更やモデルチェンジを経て、スポーツカーの名に恥じない内容へと進化を遂げたのである。
【画像26枚】見事仕上がったL-88の細部と、1973年型とのツーショットを見る!
1968年型では2度目のモデルチェンジを行いグラマラスなボディを得た。コークボトルラインを基本とし、フェンダーが力強く盛り上がったこのスタイリングは、1965年発表のエクスペリメンタル・モデル、”マーコ・シャークⅡ”のモチーフを最大限活かしたものである。この3代目(C3)コルベットにおいて、アメリカ的なスポーツカー像が明確になったと言ってよいだろう。ボディ形式はTバー・ルーフのクーペ(リアウィンドウも着脱式)とコンバーチブルの2種。
エンジンは300hpの327-cid(5.4L)が標準で、オプションとして350p仕様の327も存在した。この350hp仕様のユニットは、L-79というコードネームで呼ばれる。これらスモールブロックに対してビッグブロックの427-cid(7L)も用意されており、こちらはL-36(390hp)、L-68(400hp)、L-71(435hp)、L-88(430hp)などがあった。このうちL-88は実質的にはレース用ユニットで、430hpという最高出力も実際には過小に公表された数字である。アルミ製のヘッドやハイリフトカム、4バレルキャブを具えた特別なユニットであり、搭載車にはラジオやヒーターは装備されなかった。なお、L-71にアルミ製ヘッドを装着したL-89というエンジンも存在する。
クーペのボディにコンバーチブルのパーツを組み合わせ
「アメリカ唯一のスポーツカー」だけに、コルベットはどの世代も人気が高く、この3代目もプラモ化の数は少なくない。C3初期の当時ものモデルとしては、AMTの1968年型が存在したが、これは「たった3枚のメーカー写真を元に設計された」という逸話もあるキットで、プロポーションはかなり実車とは異なる。AMTではのちに(1990年代)、1970年型クーペと1972年型コンバーチブルをリリースしており、こちらは初期C3のベストキットともいえる出来だ。当時プロモーショナルモデルを手掛けていたMPC製品については、先にお伝えした通り(下の「関連記事」を参照のこと)。
ここでお目にかけている作例は、制作当時入手しやすかったレベル製1/25スケールの1968年型コンバーチブル(キットNo.2544)と1969年型クーペ(2866)を使い、1968年型のクーペとして作ったものだ。クーペのボディをベースに、ボディ以外は1968年型のパーツをそっくり使用する。キットの新旧によってはエンジンフードの形状が異なる場合があるので、固有なタイプにする場合は注意が必要。今回使用した1969年型クーペにはL-88用のフードが入っているので問題はないが、元々このフードは旧1968年型L-88コンバーチブルのパーツで、本来クーペのキットにはバルジの低いタイプのフード(L-88以外の427用)が入っていた。
使用したキットのオリジナルは1988、1989年のMADE IN USA。この頃のモノグラム・タッチのレベル製品は、AMTに対抗して新製品のスケールを1/25に統一し、非常に出来が良かった。ボディの改造は3ヶ所、1968年型のみの特徴となる部分。まず、この年はStingrayの呼称はなかったから、ボディサイドのロゴを取り除く。次に、ドアオープナー主変は凹んだ形状に彫り込み、孔を開けてプッシュボタンを差し込む。そして、左右リアバンパーの下にバックランプを再現する。したがって、テールランプの内側はすべてクリアーレッドのままでよい。
エンジン、足周り、インテリアはとても組み立てやすく、特に問題はないだろう。残念なのはキットに付属するタイヤだ。1/24のものと共通なので、ホイールとともにオーバースケールになっている。できれば1/25にしたいところだ。作例ではAMTの1970年型コルベット(6218)のラリーホイールを流用し、タイヤもAMTの現行キットから70プロファイルの15インチに合うものを探した。オプションリストによると、タイヤのサイドストライプはレッドとホワイトがあるので、レッドをチョイス。サイドの凹みにタミヤのアクリルカラーを流し込んだ。なお、この年式ではホワイトレタータイヤは設定されていないようだ。
ボディカラーはTUXEDO BLACK(カラーコード900)、いわゆるピアノブラック。クレオスのC2ブラックで下塗りをしてから、C157スーパーブラックを重ね塗り、仕上げにスーパークリアーⅡを用いて研ぎだした。インテリアはレッド。下塗りをサーモンピンク(ベースホワイト+モンザレッド)で行った後、モンザレッドにブラックを少し混ぜて深みを出したものを、つや消しにして吹き付けてある。
エンジンに追加したパイピングはプラグコードのみ。L-88の多くは赤いコードを使用しているようだ。ダッシュボードやドアの内張りにも違いがあるから、1968年と1969年のパーツを間違えないようにする。L-88仕様にはラジオのモールドはないから、間違ってもアンテナは立てないように。エンジンフード横には「427 L-88」という文字がモールドされているが、本来は「427」のみ。モールドを全て削り取って「427」のデカールを貼った。車高は問題ないが、リアのトレッドはやや広めに修正している。
■関連記事
- 前後でスタイルがちぐはぐ!?バンパーが特徴的な「1973年型シボレー・コルベット」のMPC製プラモデル【モデルカーズ】
- 「アメリカが世界だ」と信じた素朴なマッチョパワーの「シボレー・コルベット」【世界の傑作車スケルトン図解】#09-2
関連記事
大人気の「アストロ」にバン仕様を追加予定・情景セットもあり!トミーテックの1/64ミニカー新製品【CARSMEETモデルカー倶楽部】
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.11.16
DTMのBMWからNASCAR、さらに3輪トラックまで!プラッツ取り扱い海外プラモ、注目の新製品【CARSMEETモデルカー俱楽部】
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.11.15
爆発!的人気のTVドラマ車両がプラモ界も席捲!?その力を最大化したのは…【アメリカンカープラモ・クロニクル】第38回
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.11.09
屋根が外れる!オーディオルームが見える!!ニチモの超傑作「タウンエース」 名作キット列伝・第4回【CARSMEETモデルカー倶楽部】
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.10.29
愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?
複数社を比較して、最高値で売却しよう!
車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。
手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!
一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!
【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>