様々な意味で過渡期にあたる年式
アメリカ初にして唯一の量産スポーツカーとして、1953年型にてデビューしたシボレー・コルベット。1968年型では2度目のモデルチェンジを行い、グラマラスなボディを得たが、このスタイリングは、1965年発表のエクスペリメンタル・モデル、”マーコ・シャークⅡ”のモチーフを最大限に活かしたものである。
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ボディ形式は、Tバー・ルーフのクーペとコンバーチブル(1975年型まで)の2種。このC3コルベットは14年の長きにわたって人々に親しまれたが、当然ながら年々細かな改良・変更が重ねられている。1969年型では標準エンジンを350-cid(5.7L)に拡大、”スティングレイ”のサブネームが復活したほか、430hpの427-cid(7L)エンジン、L-88を搭載するスペシャルモデルのZL-1が設定された。1970年型ではビッグブロックを454-cid(7.4L)にアップしたほか、強化された足周りを持つパッケージ・オプション、ZR-1とZR-2を用意。ZR-1は370hp仕様の350(LT-1)を搭載、ZR-2は425hp仕様の454(LS-6)を載せたモデルだが、後者は名目のみで実際に生産されたのは翌年からである。
外観についても毎年細部を変更していたが、一番大きな変更が行われたのは1978年型であろう。このとき、トンネルバック状であったリアウィンドウ周りの形が改められ、大きなリアグラスを持つファストバックスタイルに生まれ変わっている。次いで大きな変更は、それより前に行われた、バンパーのボディとの一体化(ウレタン製、ボディ同色の衝撃吸収バンパーの採用)と言えるが、これは無論、安全基準適合が目的のものだ。
これは段階的に進められ、まず1973年型でフロントバンパーを一体化、次に翌年、リアにも同様の処理がなされた。1973年型のみが過渡期的な、前後で大きく印象の異なるスタイルであった訳だが、デザイナーのラリー・シノダによれば、これが理想形だという。この年の標準エンジンは前述のとおり350-cidで最高出力は190hp。オプションとして250hp仕様である350のL-82、そして454-cidで275hpのLS4が用意された。ZR-1/ZR-2は消滅し、オフロード・サスペンション&ブレーキ・パッケージが登場している。
当時ものキットの美点を損なわないようフィニッシュ!
ここでお見せしているのは、MPCによる1973年当時の1/25スケール、オリジナルキット(7306)の作例である。同社からは当時、クーペ(7305)も出ていた。これは1968年型のキット(クーペ:0568、コンバーチブル:0688)から毎年、金型を改修しつつ生産されたもの。細部が年式を追ってアップデートされているのは、プロモーショナルモデルを作るメーカーならではだ。インテリアや足周りのパーツなども流用だが、シートやドアの内張りはしっかり変更されている。
1970年型からの排気量拡大で、フードには「454」のバッジが付くが、エンジンのパーツ自体は1968年型での427と同じものだ。1973年型にはオマケでロータリーエンジンが入るが、これはミッドシップ・コルベットのコンセプトカーであるXP-897(1973年)に、ロータリーが搭載されていたことと関係しているように思われる。ただし、そのエンジンを再現したものかは不明だ。
C3のボディは非常に細長く抑揚に富み、デリケートなキャラクターラインを持っているが、キットのボディはその特徴をとてもよく表している。ただし、別パーツとなっているフロントバンパーとのフィッティングはあまり良くない。ここはフェンダーの峰からスムーズに繋がるよう、若干の瞬着パテを用いつつすり合わせし、セパレートラインの筋彫りを入れ直した。フェンダーの峰にはパーティングラインが走っているが、これを処理するときは峰のエッジを丸めてしまわないように注意が必要。塗装によってカドが鈍くなるから、下地の状態では鋭いくらいでよいだろう。
峰のラインはドアの少し前でボディに溶け込むので、この部分のパーティングラインは完全に消しておく。実車のリアデッキ上面は、中央部にほんの僅かな峰があるが、残念ながらキットではそこまで再現されていない。この面にはフューエルキャップが含まれるので、修正するとなると非常に難しいが、もちろん実車でもよほど注意しないとわからない部分だから、このままでよいだろう。
シャシーと足周りは、完全に組み立ててしまわないとトレッドや車高の調整ができなかった。フロントサスはスプリングで可動しステアも可能だが、ガタが多くてタイヤの位置が落ち着かない。スプリングのおかげで車高はやや高め。リアサスも実車とほぼ同じパーツ構成だが、やはり組み立ててしまわないと調整しにくい。インテリアをしっかりボディ内に収めてから、トレッドや車高の調整をする。残念だが、フロントの可動部はしっかり固定した。
ボディカラーはコルベット専用のYellow(カラーコード952)。メタリックではない。一旦同じ色に調合して塗ってみたが、やや明るすぎる感じがしたので、微量の赤を混ぜてすこし濃くしてから重ね塗りしてみた。「山吹色」という感じだろうか。キットに付属する砲弾型サイドミラーは使わずに、レベルの1968年型コルベットから純正タイプのサイドミラーを流用。インテリアはクレオスのセミグロスブラックで統一した。
エンジンはノーマルの454としてプラグコードのみを追加、特に意図したのではないが黄色いコードを使用した。フロントウィンドウ前のスカットル部の形状は実に簡単なものだが、作例では特に手を加えていない。ワイパーくらいは追加したいところだ。エキゾーストのエンドパイプはボディ側にモールドされていたので、一旦切り離し、組み立ての最後にマフラーからのパイプを3mmほど延長して取り付けた。リアバンパーとホイールはメッキをはがして、パーティングラインを削り取ったのち、再メッキ加工を施してある。