フロントに435ps、リアには653psを発生する電気モーターを搭載
ポルシェAGは、ミュンヘンで開催されている「IAA MOBILITY 2021」にてコンセプトカーの「ミッションR」を発表した。ポルシェミッションRに搭載された新開発の2つの電気モーターは、予選モードで最高出力800kW(1,088PS)を発生し、約80kWhのバッテリー容量と革新的な回生システムによって、出力を失うことなく加速することが可能で、フル電動カーによるワンメイクシリーズの未来を示しているという。
ポルシェは、31年前にポルシェカレラカップドイツを始めて以来、4,400台以上のカップカーをヴァイザッハで製造および販売してきた。これらの信頼性の高い高性能レーシングカーをベースに、世界中でポルシェカレラカップジャパンをはじめとした合計30のワンメイクカップシリーズが開催されている。2021年のモータースポーツシーズンの開始とともに一部シリーズで導入された911 GT3カップの最新モデルは、タイプ992をベースとしています。
予選モードで1,100PSをわずかに下回るミッションRは、静止状態から100km/hまで2.5秒未満で加速し、最高速度は300km/hを超えるパフォーマンスを披露。サーキットでは、現行のポルシェ911 GT3カップと同じラップタイムで周回できるという。新設計の電気モーターとバッテリーセル(革新的なダイレクトオイルクーリングを装備)によって、ポルシェミッションRはレースモードで500kW(680ps)の定出力を発生し、ディレーティング(熱条件によるバッテリーの出力低下)も取り除かれています。320kW(435ps)の電気モーターがフロントアクスルに駆動力を供給し、リアには最高出力480kW(653ps)が供給されるAWDを採用。高度な900Vテクノロジーとポルシェターボチャージャーによって、わずか15分で5-80%のSoC(充電状態)にバッテリーを充電することができるとのことだ。
また、ノーズセクションとリアウイングにドラッグリダクションシステム(DRS)を備えたポルシェアクティブエアロダイナミクス(PAA)も装備。これは、ノーズセクションの2つのサイドエアインテーク(各々3つのルーバー付)と、調整可能な2セクションリアウイングで構成されている。
革新的なバッテリー式エレクトリックドライブコンセプトに加えて、CO2の低減と持続可能性にも重点を置くコンセプトカーのボディは、主に天然繊維強化プラスチック(NFRP)でできており、その基本素材は農業で得られた亜麻繊維で作られている。このエコロジー素材は、フロントスポイラーリップ、ディフューザー、サイドスカートに使用され、インテリアドアパネル、リアバルクヘッド、シートなど、ミッションRのインテリアにも幅広く使用されている。
インテリアデザインは、あらゆるエリアでドライバーに焦点が当てられており、ステアリングホイールスイッチ間に人間工学的に配置されたディスプレイには、レース中の関連データが表示され、ステアリングコラム上のモニターには、サイドミラーカメラとセンタールームミラーカメラからの画像が表示される。シートの右側にあるタッチディスプレイを使用すると、ドライバーの生体認証データを呼び出したり、車内にある他の多数のカメラを使用して、ライブストリームにエキサイティングなシーンを提供することも可能だ。
ポルシェは、このミッションRプロジェクトによって、リアルレースとバーチャルレースをこれまで以上に近づけ、まったく同じ形式のモノコックドライバーズモジュールは、eスポーツシミュレーターとしても機能する。ポルシェのエンジニアとデザイナーが“exoskeleton”(エクソスケルトン)と名付けた新開発のカーボンルーフ構造は、セーフティーケージとルーフパネルを組み合わせており、4,326mmの全長は、現行の718ケイマン シリーズよりもわずかに短いにもかかわらず、全幅は著しくワイドな1,990mmで、全高も1,190mmと大幅に低く構えたデザインだ。
「ポルシェは夢を実現する人々のためのブランドです。これはモータースポーツにも当てはまります。私達はサーキットで革新的な強さを体験し、新しい道を追求する勇気を示し、車のオーナーにスポーツカー然とした性能で喜びを与えます。フォーミュラE世界選手権への参戦に加えて、私達はここでE-モビリティの次の大きな一歩を踏み出します。このコンセプトモデルは、フル電動カスタマーモータースポーツに対する当社の展望を示します。ミッションRには、ポルシェを強くする全てのもの、つまり性能、デザイン、持続可能性が具現化されています」とポルシェAGの取締役会会長のオリバー・ブルーメは述べている。
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