【フロントライン】「ミニ・ヴィジョン・アーバナウト」まさに動くプライベートルーム

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ミニが描く未来予想図。

BMWは、オリジナル・ミニの精神を発展させた近未来コンセプト、ミニ・ヴィジョン・アーバナウトを発表した。ネーミングに「アーバン(市街)」と「アバウト(近距離移動)」を組み合わせたこのモデルは市販化など具体的なアナウンスこそないが、そのコンセプトは「クレバー・ユース・オブ・スペース(空間の巧妙な利用)」。すなわち、ミニが1959年に誕生した当時のキーワードに則り、世界中の自動車メーカーが追従したツーボックスのシルエットを近未来に向けて進化。トールボーイでモノフォルム、ロングホイールベース&ショートオーバーハングの体躯が与えられる。

すべてのインターフェイスを司るのが「MINIトークン」。これを車体中央のテーブルにある専用スロットに入れると起動する。

チーフデザイナー、オルバー・ハイルマー率いるチームが創り上げたエクステリアは、細長いアルミ製フロントグリルの背後にある円形ヘッドライトなどで確かにミニをイメージさせるもの。全体のフォルムは2017年に発表されたフォルクスワーゲン(VW)のコンセプトモデル、BUZZに通じるところがあり、情報筋によると、このアーバナウトの量産モデルは5シーターワゴンと商用バンの2機種が考えられているようで、これもVWがBUZZに商用「カーゴ」を想定していたのと同じだ。周知の事実だが、BMWは商用車を持っておらず、このカテゴリーはVWやメルセデス・ベンツの独壇場。今後、アジアなど新興市場に向けた格好のモデルになるポテンシャルを秘めている。

ドアは車両右側のスライドドアのみ。フロントグリルはBEVのため冷却機能はなく、自動運転のためのインテリジェンスパネルとして機能する。

ボディサイズは全長4460mmと、現行ミニ・クロスオーバーよりも261mm長く、2022年に登場予定のVW BUZZに対してホイールベースは480mm短い。「1959年に登場した最初のミニは、横置きエンジンという画期的なレイアウトを持ったクルマでした。我々はこの伝統に基づき、室内スペースの拡大とサーフェスの最大限の利用方法を追求し、将来的にミニが向かうステップとなるべく考えているところです」と前述のハイルマーは語る。

マルチカラーのマトリクス・リアライトは、走行モードやインターフェイスに合わせて点灯。リアエンドの凸面はオリジナル・ミニのオマージュ。

エレクトリック・プラットフォームは、先日発表されたミニ・クーパーSEの発展型をベースとするのが有力で、当初より自動運転機能付きのBEVとして考案されたヴィジョン・アーバナウト。きわめて自由度の高いキャビンスペースや革新的なインターフェイスは現時点で市販段階にはないが、将来的にミニが向かう道筋は示されたといえるだろう。

4シーターレイアウトながら、キャビン内の使い方は自由自在。クルマが停止している時にはダッシュボードが下がりソファになる。

リポート=キムラ・オフィス/Kimura Office ルボラン2021年2月号より転載

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2021/01/23 15:00

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