カタログ値超えの500km以上を走破! ピュアEVの「フォルクスワーゲンID.3」が実用性の高さを証明

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ドイツ・ツウィッカウのフォルクスワーゲン工場からスイス・シャフハウゼンまでの531kmを1回の満充電で走行

フォルクスワーゲンはこのほど、新型ピュアEVの「ID.3」で航続距離チャレンジを実施。ドイツ・ツウィッカウにある同社工場から、スイス・シャフハウゼンまでの531kmを走破したことを発表した。

このチャレンジには、ID.3に3種類用意されるバッテリーのうち中型となる58kWhのバッテリーを搭載。メーカーが公表するカタログ値では、1回の満充電で420kmの航続が可能だ。

ステアリングを握ったのは、元航空会社のパイロット、フェリックス・イゴルフさん63歳。彼は“ハイパーマイラー”の異名を持つ燃費(電費)テスターで、巧みなアクセル操作などによって省燃費(省電費)走行ができるスキルの持ち主だ。

カタログ値の航続距離420kmとは、ドライバーのみが乗車し、何ら荷物を載せていない状態での距離。だが今回の挑戦では、ID.3に同乗カメラマンとその機材も積み込まれ、フェリックスさんと合わせると約250kg荷重がかかった状態での走行となった。

フェリックスさんの電費ドライブは、一般のドライバーとは明らかに違う。惰性走行をうまく使うことでブレーキ操作を極力避けるようコントロール。平均車速は56km/hだ。フェリックスさんは「最適なのは、モーターの出力なしで総距離の3分の1をカバーすることです」と説明。とくにラウンドアバウト(信号のない交差点)へのアプローチは印象的で、少し手前からシフトセレクターを「D」から「N」に。エンジンブレーキ効果によってエネルギーを回生させるというわけだ。

電費を追求しているものの、ナビゲーションやデイタイムランニングライト、ラジオ、エアコンはオンのまま。現実的な走り方でなければ意味がないからだ。一方、高速道路では常に一番右の走行車線(日本でいう一番左の車線)をキープし、十分な車間距離を保ちながらトラックの後ろでスリップストリームを得て、空気抵抗低減に努める。

目的地の手前10kmほどまで来た時のバッテリー残量わずか2%。緊張感が高まるなか、さらに5km、3km、1km……。果たして、9時間半のドライブでID.3は無事に目的地となるシャフハウゼンのAMAGカーディーラーに到着。トリップメーターは531kmを表示し、カタログ値の420kmを大きく上回る航続距離を実現したのである。

このロングドライブを振り返るなかでフェリックスさんは、ID.3のロードホールディング性能やコーナリングでの安定感は模範的と高く評価。さらに、インパネ中央に配置されたディスプレイを含むコックピットも直感的な操作が可能で機能的だとコメントしている。

今回実施された電費チャレンジによる記録的な航続距離によって、ID.3の実用電費の高さは見事に証明されたのである。

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