オーバーホーリンな改造車の世界を、チップ・フースの「フォードF-100」レベル製プラモで味わおう!【モデルカーズ】

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13歳の時からの相棒が見事に蘇った

アメリカン・カスタムの世界では知らぬ人のないチップ・フース。映画『60セカンズ』のエレノアをデザインした人物だ――と言えば、合点のいく人は日本でも少なくないだろう。また、ディスカバリー・チャンネルの番組『オーバーホール 改造車の世界』への出演も、より知名度を高めたはずである。今回採り上げるフォードF-100は、この番組にも因縁の深い車両だ。

【画像24枚】カスタマイズの奥深さを、美しい仕上がりの作例から実感する!

チップ・フースが13歳の時に父親サムから買い取ったのが、実はこの1956年型フォードF-100だった。それ以前からサムはカスタム工房を営んでおり、そのショップトラックだったのがこの個体だったのである。すでにカスタマイズの世界にどっぷり浸っていたフースは、それから3年かけてこのF-100を自分なりに仕上げた。そのときのボディカラーは、ルートビア・ブラウンだったという。

高校、大学と進学した彼の日常の足であったこのF-100だが、多忙な生活の中で、いつしかただの放置車両となってしまった。それでも彼はこのフォードを仕上げ直すことを考え続け、スケッチを描きためていたのである。月日は流れ、ボイド・コディントンの元でのキャリアを経て、カスタム界のビッグネームに昇り詰めたチップ・フースは、その知名度を反映し、ディスカバリー・チャンネルの『Overhaulin’』という番組で、ホスト役を務めるようになった(この番組が前述の『オーバーホール 改造車の世界』である)。

彼のフォードF-100が盗難に遭ったのはそんな時だった――しかしこれは、フース自身を欺くために番組スタッフの仕掛けたドッキリだったのである。この番組、様々な一般視聴者の所有する旧車を(多くはオーナーの家族からの依頼で)「盗み出し」、レストアとカスタムを施して返却、オーナーは自分好みのスタイルに生まれ変わった愛車を見て驚喜、というのが毎回の内容である。ホスト役自身が番組の生贄になったというわけだ。

サム・フース指揮のチームにより、F-100は生まれ変わった。ボディパネルの大半はセクショニングやパイカットにより一新され、前傾したルーフやボリュームを増したリアフェンダーで、よりマッシブなルックスに。フロントアクスルは前方に移動し、オーバーハングが短くなっている。

ホイールはワンオフもので、フロントは19インチ、リアは20インチを装着。フロントサスペンションはコルベットのパーツを使って組まれ、リアはフォードの4リンクに交換された。ブレーキは前後ともBAERの14インチ・ドリルドローター。エンジンはフォードを得意とするチューナーROUSHが手掛けた451サイドオイラーが搭載され、ミッションはBowlerのチューンによるフォードC6が組み合わされている。

「盗難」されたF-100は、2005年SEMAショーでのROUSHブースでフースとの再会を果たした。歓びと感動で、彼は涙を流して父親と抱き合った。その後、このF100はチップ・フースの日々の足の1台として活躍することとなったのである。

実車のカスタマイズを逐一反映した完全再現キット
このチップ・フースのフォードF-100は、2017年にレベルから1/25スケールのプラモデルとして製品化された。ここでご覧いただいているのは、このキットをほぼストレートにフィニッシュした作品である。この作例は自動車模型専門誌「モデルカーズ」257号(2017年)のために制作されたものだが、以下、そのときの解説(作者・畔蒜氏による)をお読みいただこう。

「フースのフォードFD-100のベース車輌は、1956年型フォードF-100ピックアップ。フォードFシリーズの二世代目、最後の年式である。キット表記の『FD』は『フース・デザイン』と思われるが、レベル独自の表記のようだ。

レベルの1956年型F-100と言えば、ドアが開閉する古いキットが思い当たる。オリジナルは1963年製(H1283)だがこれまで10回も再販されており、2017年5月にこのFD-100のアナウンスがあった時は、てっきりその再販と思ってしまった。6月のリリースニュースで完全なニューツールと判明。キットはチップ・フースのカスタムをモデル化したもので、余計なパーツは一切付属しない。

単体で見ると、正直、ストックとあまり変わらない印象だ。しかし、手元のAMT製1953年型F-100(年式は違うがほぼ同じデザイン)と較べたところ、その違いに驚いた。ルーフやフードを縦方向に少し押しつぶして、フェンダー幅がワイドになったイメージだ。ストックに似てはいるものの、安定感を増した全く異なるクルマであると実感。フースのウェブサイトを見てみると、なるほど全てのボディパネルに手が加わっている。

シャシーも同様に較べてみると、ほぼフラットに近いストックのフレームに対し、フースの方は前後をキックアップさせた形状だ。モダンな足周りはブレーキも4輪ディスクとなっている。

キットの組み立てはとてもスムーズ、ほぼストレスなく進められる。細かい点だが、タイヤの内側にバリ(切り残し?)が僅かにある。このままだとホイールに馴染まないので、よく切れるナイフで、フランジ状の切り残しをカットしておく。また、キットの前輪は金属シャフトで連結するパーツ構成で、シャフトを貫通させるためにオイルパンとフレームの一部に切り欠きがある。

タイヤを回転させるつもりがなければ、これらの切り欠きは埋めてしまおう。シャフトは10mm程度に切断、左右ホイールに固定してあとから差し込み接着すると、リアルに仕上がる。キットにフロントショックのパーツが存在しないのは、貫通したシャフトのために取り付けできなかったためであろう」

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=服部佳洋 modelcars vol.257より再構成のうえ転載

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2023/09/03 17:40

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