ジープだけどスポーツカー!?「1969年型ジープスター」の不思議な味わいをMPC製プラモで知る!【モデルカーズ】

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二代目は本格的4WD

第二次大戦終了後、ウィリス・オーバランド社はジープを単純に民間向けへ転換させるだけでなく、そのイメージを盛り込んだニューモデルを市場へ送り出した。そのいち早い例がステーションワゴンであり、それに次ぐ全く新しいタイプの自動車が、2ドア・コンバーチブルのジープスターであった。

【画像21枚】ジープのようなコンバーチブル……の不思議な世界を覗く!

ジープスターのスタイリングは、ワゴンも手掛けたブルックス・スティーブンスが担当したもので、ジープ風のノーズに戦前型乗用車のようなボディ(独立したフェンダーやスロープしたリアエンドを持つ)が繋がっていた。メッキトリムが多くあしらわれていることにも象徴されるように、その中身は後輪駆動シャシーの乗用車であった。ジープのムードを持ったスポーティーカーというのがその狙いであり、遥か後の「街乗り四駆」的な性格付けでもあったのだが、その方向性はあまりに早すぎたのか、わずか3年で消滅。この後ウィリス・オーバーランドはカイザーと合併、カイザー・ジープ社となっている。

このジープスターが不思議なことに、1966年型として突如復活した。この二代目ジープスターは、初代とは違ってちゃんとした四輪駆動シャシーを持っていたことが特徴だが、復活の理由も実はそこにあった。1960年代に入ると、乗用車的な快適性とレジャービークルとしての利便性を盛り込んだ、新しいタイプの四輪駆動車が登場してきたのである。その走りとなったのは、トラックメーカーであるインターナショナル・ハーベスターが1961年型として発売した、インターナショナル・スカウトであった。その対抗馬として生まれたのが二代目ジープスターだったという訳なのである。

ボディはもちろん7本の縦スリット・グリルを持つジープ・フェイスが特徴で、初代のイメージも色濃く残されていたが、前後ともフェンダーはボディに飲み込まれ、フルワイズと言ってよいものとなっていた。シリーズにはピックアップとワゴン、そしてロードスターというバリエーションが展開されていたが、基本的には同一のボディであり、その上に固定する別体のルーフやシートの配列などで違いを持たせていたにすぎない。なお、これらのシリーズ全体はジープスター・コマンドという名で呼ばれたが、初代のリバイバル的位置づけである豪華モデルのコンバーチブルのみは、単純にジープスターを名乗った。

このジープスターは、ジープスター・コマンドではオプションとなるクロームのバンパーやハブキャップが標準装備となり、ツートンカラーの切り返しにもメッキモールが付くなど、外観からして豪華さをアピール。スペアタイヤのコンチネンタル・マウントも専用の装備である。オプションながら電動のトップも用意されており、カタログでは「他のいかなる四輪駆動車にも見られない唯一の装備」と誇らしげに謳われている。

搭載されるエンジンはジープスター・コマンドもジープスターも共通で、直列4気筒Fヘッド134.2-cid(2.2L)の”ハリケーン”(75hp)。オプションで、ビュイックのV型6気筒225-cid(3.7L)”ドーントレス”(160hp)も用意される。トランスミッションは3速のマニュアルが標準で、2速オートマチックのターボ・ハイドラマチックもチョイス可能だった。前述の通り、この二代目ジープスターは今でいうSUV的な性格を持たされていたが、カイザー・ジープ社では「スポーツ・コンバーチブル」と表現していた。

ジープスター・コマンドは1972年型からジープ・コマンドとなり、フロントマスクも所謂ジープ顔ではなく四角い平凡な顔つきへと改められている。これに先立ちカイザー・ジープは1970年にAMCに買収されており、そのため1972年型からはエンジンもAMCのものに変更されたが、ジープ・コマンドは1973年型を最後に消滅した。豪華版のジープスターはいつまでラインナップされていたのか明確ではないが、1969年型がラストであり、1970年型からは単にジープスター・コマンドのコンバーチブルという扱いになっていたようである。

ボディはクリアーなし・磨きなしの塗りっぱなしでフィニッシュ
さて、この二代目ジープスターのプラモデルは、MPCからリリースされていた1/25のアニュアル・キットが唯一のものとなる。ここでお目にかけているのは、このMPCによる1969年型ジープスターを完成させた作品で、自動車模型専門誌「モデルカーズ」の166号(2010年)に掲載されたものだ。ここでは以下、その時に併せて掲載された作者・畔蒜氏による解説をお読みいただこう。

「今では絶対にモデルキットになりえない存在であり、MPCのキットは唯一の存在。以前から1972年型のキットを所有しており、何かの機会に採り上げようと考えていたところ、最近この1969年型を入手、制作意欲を刺激された次第。この不思議な魅力をご理解いただけたら幸いだ。

キットは実車の味が充分伝わるもの。ソフトトップとクローズ状態のトノカバーが付き、ホイールは3種類、リアバンパーはノーマルと純正コンチネンタル・マウントの2種類。エンジンは、ビュイック製”Dauntless”とフォードV8から二者択一。ほかにカスタムグリルと、サーフボードのオマケ付き。

シャシー、足周りなどは複数の細かいパーツで構成されており、それぞれ確実な取り付けが必要。接着箇所が曖昧なところ、しっかり固定できない部分は、充分にすり合わせる。キットのホイールベース、トレッドはともに問題ない。車高は若干高いようだが、修正には足周りを全面的に手直しする必要がある。

塗装後の組み立てにおいて、説明書では、シャシーに足周りを取り付けてからエンジンやエキパイ関係を取り付けるようになっているが、エキパイが組み立てにくい。先にエンジンとエキパイ関係をシャシーに取り付けておいた方が良い。作例のエンジンはドーントレスをセレクト。前側マウントが少々高く、エンジンが前上がりになってしまう。エンジン側マウントを切り取って対処。

ボディカラーはChampagne White(コード432)とCanart Yellowのツートンとした。Whiteは何も混ぜないホワイト、Yellowは黄色が基調のアイボリーに微量の赤と黒を混ぜてある。今回はツルツルに磨きだしたボディは適当ではないと思われ、クリアーコートはせずに、ボディカラーの最終塗装段階でクリアーを半分くらい混ぜて塗った。しかも乾燥後の研磨も一切行わず、塗りっぱなしの状態である」

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=羽田 洋 modelcars vol.166より再構成のうえ転載

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2023/07/01 17:40

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