クリスタルピラーがトレードマークのハイソカー
売れに売れて、街の景色を一変させてしまうクルマというものがある。1980年代後半、日本の街は白いトヨタ車、特にマークⅡで埋め尽くされていた。マークⅡだけでなくチェイサー、クレスタの三兄弟が盛り上げた、ハイソカーブームの時代であった。
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コロナとクラウンの間を埋める車種として1968年に生まれたコロナ・マークⅡだが、1984年8月、4度目のフルモデルチェンジにして初めて「コロナ」が車名から外れた。五代目・X70型系マークⅡの登場である。先代・X60型系の成功もあり、基本的にはキープコンセプトで行われた世代交代で、ボディ形式は従来通り4ドアのセダンとハードトップ、そしてワゴン/バン(こちらは遅れて11月に登場)が存在。なお、兄弟車のチェイサーは4ドア・ハードトップのみ、クレスタは4ドア・セダンのみへと変更されている。
ボディスタイルも当然先代からの発展形というべきものだが、4ドア・ハードトップではCピラーをブラックの樹脂パーツで覆ったデザインを採用。当時の120型クラウンにも通じる処理だが、このようにキャビンがほぼ全てガラスに囲まれた(ように見える)スタイルは、日産の初代レパード(1980年)が先鞭をつけたものと言ってよいだろう。そういえば、フロントマスクもレパードに似たものがあるようだ。
シャシーは先代の踏襲で、前ストラット/後ろセミトレ(セダンなどは4リンクコイル)のサスペンションも変わらない。エンジンも同様で、トップモデルには2L直6 DOHCの1G-GEU(160ps)を搭載。他に、これのシングルカム版である1G-EU(130ps)もあり、また、ひと世代前の6気筒であるM型エンジンも、ターボ仕様のM-TEU(145ps)として残っていた。もちろんこのほかに、中~下級グレード用として、4気筒エンジン搭載車も用意されている。
X70型系マークⅡを特徴づけたのは、前述の通り純白のボディである。それまでの自動車用カラーのホワイトは、どうしてもその色調から濁りやくすみを排除することが難しかったのだが、トヨタでは下地塗料の改良などによって、まさに”純白”という表現に相応しいカラーを実現。このスーパーホワイトが、ワインレッドのインテリアなどとも相まって、一層の高級感を訴求したのであった。なんとか手の届く範囲の価格で、この高級感と高性能が手に入るとなれば、ヒットしないわけはない。「大型駐車場にクルマを停めて離れると、どれが自分のクルマか分からなくなる」と言われるほど、売れまくったのである。
登場1年後の1985年10月には、ターボエンジンのM-TEUを1G-GTEUに変更。これは1G-GEUにターボチャージャーを追加したものだが、ただのターボではなくツインターボで、185psを発揮。これを搭載したのはGTツインターボというグレードで、その名の通り、スポーツシートの採用などでスポーティに振ったモデルとなっていた。1986年にはマイナーチェンジでボディ前後のデザインを変更、そしてその2年後の1988年8月にモデルチェンジされている。
ノーズが短いのかバンパーが長いのか?そこが問題だ!
ヒット車種だけにX70型系マークⅡのプラモデル化は少なくはなく、フジミ、エルエス、ニチモの3社から1/24スケール・キットが当時リリースされている。ニチモのキットは当時から流通量がすくなく、極端なレアアイテムと化しているが、フジミとエルエスのキットはその後も再販が続いていて、現在(2022年10月)も入手は容易だ。エルエスのマークⅡは、同社廃業後は金型がアリイ(マイクロエース)に引き取られ、ごく最近まで再販されていたが、現在は店頭在庫のみになっているようである。
さて、2社のマークⅡを比べてみると、そのボディ形状は一長一短。フジミは基本は悪くないのだが、キャビンがかなり上すぼまりで屋根が小さい。一方エルエス/マイクロエースはキャビンの形状はよいのだが、ノーズが異様にスラントしていて、フロントバンパーが大きく見える。ここでお見せしているのは、そんなマイクロエースのマークⅡに細部の改修を加えて、より良いプロポーションのボディを実現してみた作例だ。
前記のエルエス金型独特のボディ形状をあらためて検証してみると、バンパーで見たところの全長は合っているということがわかった。つまり、フェンダーが短く、そのためバンパーが大きく見えるのである。フロントグリルが少し奥まっているから、その分、ノーズのスラントが強く見えるのだろう。ということで、バンパーの上と下の形に改修を加えてみた。それだけでなく、ホールアーチのリップの幅広さなどにも加工の余地があったようだ。このあたりも含めて、工作中の写真とそのキャプションをご参照頂きたい。
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